第19話 ページ19
その後、公安部にAの個性の詳細を提出すれば、雄英高校で保護するという判断が下された。
もちろん、身寄りがないことも一つの理由だが。
Aの個性は強大だ。
敵予備軍の元にいたのなら、いつ敵に成り代わるか分からないという意見。暴発した際の被害を考えれば、「抹消」という個性を持つイレイザーヘッドのいう雄英が最適解という意見。
兎にも角にも、前向きや意見はなかった。
殺してしまえ等の人道を外れた意見を出す者もいたが、それは却下された。
壊理も同じ方向で話を進められてはいるが、Aの方が早く引越しの準備を始めた。
そして、ついに雄英高校の寮に移る日が訪れる。
緑谷や爆豪が毎日見舞いに来たことにより、Aの精神状態はだいぶ回復した。今ならもう大丈夫だろうという主治医の判断がおり、早い方が何かと楽なので急遽決まったのだった。
「……おねえちゃん…」
『壊理、そんな悲しい顔しないで。大丈夫、すぐに会えるよ』
面会者のいない時にはほぼずっと一緒にいた壊理は、もうそれがなくなってしまうことに目を潤ませた。
壊理にとって、あの地獄の中でAは唯一の光であったから。
沢山絵本を読んでくれた。研究の材料に連れ出される時には庇ってくれた。いつも頭を撫でてくれた。壊理は、それが好きだった。
『(……困ったな)』
泣くのを一生懸命堪えている壊理を見ると胸が張り裂けそうな気持ちになる。どうしてこんな可愛い子を置いていくことが出来ようか。
実際のところ、壊理は文化祭後は雄英で預かることがほぼ決定しているため、そんなに離れる期間は少ないのだが。
「Aちゃん、もう行ける？おばさんが迎えに来てくれたよ」
『あ、ちょっと、待って』
少しでも精神状態を安定させようと雄英へ送るのは爆豪と緑谷の親が病院まで迎えに来たのだ。
人を待たせているということに焦り、Aは壊理の脇に手を差し込んで持ち上げる。
抱っこをしたまま、ぎゅう、っと抱き締めれば。壊理もAの肩に顔を埋める。
『壊理、お姉ちゃんと約束しよう』
「…やくそく？」
『うん。壊理が雄英に来たら、沢山ぎゅーってして、一緒に寝て、お散歩して。…ね、とっても楽しそうじゃない？』
ただ、一般的なことを約束するだなんて、他の人が聞いたら可笑しいと思うだろうが。
2人にとっては、何より大事なことなのだ。
壊理はそんな未来を思い浮かべ、Aと小指を絡めあった。
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かしわ(プロフ) - 名無し84302号さん» 拝読ありがとうございます。何回も読んでくださってるなんて嬉しいです😭書きたい話も沢山ありますので、まだまだ頑張りまあああああああああすっ！！！！！(狂) (2023年1月13日 0時) (
レス) @page49 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 素敵な小説を作って下さりありがとうございます！もう、好み過ぎて何回も読ませて頂いております！体調に気をつけて更新頑張って下さい( ´ ▽ ` ) (2023年1月11日 22時) (レス) @page48 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 虹彩さん» ｩ"ﾜｧｧ!!!気づいて下さった方がいた！嬉しいです！あ、拝読ありがとうございます。ここねぇ、とってもお気に入りなんです。3人の愛が見えますよね。 (2023年1月8日 15時) (レス) @page44 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
虹彩(プロフ) - 最後の「いなくならないでね」「〇〇ちゃんこそ」の部分がヒロアカのED「sketch」の歌詞になぞらえているのかなぁと感じてすごく胸に響きました。これからも投稿お待ちしています。 この作品のいちファンより (2023年1月8日 1時) (レス) @page44 id: 7d88959bdf (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - かしわさん» 何それめちゃくちゃ好みです！！！！ (2023年1月3日 21時) (レス) id: a3f5eb2b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしわ | 作成日時：2022年12月4日 19時
