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ドアを開けた瞬間、目に入った靴。
「…え」
嘘、
なんでここにおにぃの靴があるん、
会いたすぎて、幻とか?
早く、早くリビングに行って確認しないと
そう思っても、足に力が入らない。
そのまましゃがみこんだ時、
すばる「…何泣いてんねん」
「お、にぃ」
すばる「ほら、風邪引くで」
私の目の前で腰を下ろして、優しく笑ってくれてるおにぃの瞳が少し潤んでいた。
「…なん、で」
すばる「なんでやろなあ」
「っ…あほ、」
靴も脱がず、思いっきりおにぃに抱きつく。
靴、靴、なんて言ってるけどそんなの気にしない
「会いた、かった、」
すばる「…ん」
「勝手に居なくなったと思ったら、勝手に現れて、なんなん、!」
すばる「…ごめん、て」
おにぃが優しく私の背中を撫でて、
私はおにぃから体を離す。
すばる「…昔から変わらんな、その泣き顔」
「おにぃだって、」
おにぃと笑い合ったのを最後に、
兄はまた、日本を発った。
「…おにぃ」
すばる「んー」
マスクをして、深く帽子を被って、目元だけが覗くおにぃが私を見つめた。
「絶対に超えたるから、超えさせへんように向こうでも頑張ってな」
すばる「…生意気」
目元が優しく緩んだおにぃは、「任せとけ」って私に背中を向けた。
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sakura(プロフ) - とても面白かったです!更新楽しみにしています! (2019年2月17日 1時) (レス) id: b8c160a182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やんちぇる | 作成日時:2019年2月15日 8時