〔わかってないよ〕 (ページ14)

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▼ 北斗 side▼

…俺の淡い恋心というものは音もなく泡となって消えていった

あれからは高校生活はいつも通りに過ごすことにした
自分の気持ちも明けることはなく時間が過ぎるだけ

高校3年生に上がって2月
大学受験や就活が落ち着き、そこら辺から友達同士の“寂しいね”という声がちらほらと聞こえて来る

Aとは3年間クラスが一緒で今年は樹とも同じクラスになった

樹「ほくとぉー、今日ジェシー達放課後呼び出しくらってるから“先に帰ってて“だってよ」

今日はいつもの6人でいつものファミレスで無駄話するつもりだったが、多分、卒業間近だし先生もジェシー達に用事があったのだろう

「あぁ、おっけ…っじゃ行くか」

教室の後ろにある自分のロッカーから黒のマフラーを首に巻いてカバンを持つ

A「北斗っ、これ、渡すの忘れてた」

教室を出ようとしたところにAに呼び止められて
Aの左手には可愛らしい封筒に入った手紙があった

「ん？…なにこれ」

A「部活の後輩の子が渡して欲しいって…やるじゃん北斗～」

その手紙を自分の前に突き出されしょうがなく受け取って封筒の口をみる。そこには差出人の名前の下に“北斗先輩”と

何故だか、心の奥が締め付けられる感覚に陥った…ような気がした

「…いやこの子全然わからないんだけど」

A「え？そうなの？でも私も今日急にお願いされちゃったからさ…なんか、ごめんね？」

申し訳なさそうにAは謝る
別にAが悪い訳じゃない、でも

(なにイラついてんだ、俺は)

「Aはなにもしてねーだろ、まぁ一応受け取ったから。よろしく。じゃあ帰るから…明日な」

A「あ、うん…じゃあね」

たぶん、Aには気を使わせてしまった
ダサいことをしながら俺は樹が待つ廊下に出る

樹「……なんそれ」

「さぁ」