〔わかってないよ〕 (ページ12)

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▼北斗 side▼

A「まって！どこいくのっ、北斗っ！」

俺はAの手を引いて夜の校舎を走る

昇降口で靴を履き替えようと外靴を出して
一度手を離しAが履き替えるのを待つ

A「…なんか」

「うん？」

「青春って感じっ」

「ハッ、馬鹿言ってないで、ほら行くぞ！」

そう言って俺たちは再び手を繋ぎ、後夜祭の片付けをしてる慎太郎やジェシー達を横目に学校の外へと駆け抜けていった

(やばっ…ちょっと恥ずいかも)

なにかアイツらは叫んでいたけど学校を後にした

・

・

・

そして家の近所にある公園に行き着いた

赤いブランコに揺られながら息を整える

A「もっ、むりっ…荷物なにも持ってきてないしっ」

「あー…完っ全に忘れてたわ、指導室行きだわ」

「やっちゃったねぇ…」

Aは後悔したように言った後、
“北斗…”と続ける

「なんか巻き込んだみたいでごめんね」

そう言って無理したように笑っていた

違う、無理なんかじゃなく、
そばに居たかっただけ

ただ俺は少し捻くれてるみたいで
少しの嘘と本音を言った

「あんなA見たら周りの奴ら気まずいだろ？」

「ふふ、そうだね」

「それと、俺が見てらんなかったし
　………そばに、居てあげられたら…って思った」

「…ありがと。優しいね…北斗は」

「っや、そんなんじゃなくて、」

「北斗は1番の理解者だよ」

“理解者“。はたからみれば自分を慕っているようで
俺にとっては“1番仲がいい友達“に聞こえて

(“随分と“捻くれてるんだな、俺は)

「…まぁな」

チラッと左腕に付いている細い腕時計を確認する

針は午後18時53分を指す

夏が終わり秋の風と匂いが顔を出し始めてて、
学校にいた時よりも夜が俺たちを包んでいた

　

(良かった、夜で)

(こんな顔は)

(Aに見られたらダメだ)