【短編集】アルバム【gnki】 (ページ10)

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数分もすると息を切らして走ってくるぐちつぼが見えた。ぐちつぼは街灯の下にいる私を見つけると大袈裟に手を振った。

「わざわざ来なくてもよかったのに。」

一人で帰れる、子供じゃない。
何より人に迷惑をかけるのが一番嫌だった。

「お前は素直にありがとうが言えねーのかよ。」

頭を軽く叩かれる。

その大きな手は頭から離れずにそのまま私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「こんな夜中にどうしたん。話聞くぞ。」

ぐちつぼの声が真剣なトーンになり私の心を酷くざわめかせる。前からなんとなく感じていたが私はぐちつぼの事を恋愛的な意味で好きなのかもしれない。

優しい声色が私の心を酷く揺する。

違う、違う。寂かったところに急に優しくされたから。
いつもとのギャップに驚いているだけ。

そう言い訳をして必死に心を否定する。

だってそうだ、これ以上ぐちつぼに迷惑をかけるわけにはいかない。ぐちつぼも私に気はないってわかっている。

友人として好きなだけなんだから。

「ほんとに何にもないの。ただ……寂しくなっちゃっただけ。」

はは、と乾いた笑いが出た。

こんな夜中に外出て人を心配させた挙句、内容がこれでは流石に自分でも呆れてくる。

「ふはっ、なんだそれ心配して損した。」

ぐちつぼは私が思っていたよりも軽い反応をした。