【短編集】アルバム【gnki】 (ページ29)

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不安の温度（gt）ページ29

ぐちつぼの部屋、体育座りしながらスマホを触っているといつの間にかぐちつぼにバックハグされていた。

「なーんかぐちつぼって付き合う前とイメージ違うんだよねぇ。」

スマホを触りながら呟く。

肩に彼の頭が乗ってきて重たいが、その重ささえ愛おしく感じる。

「んー、どういうところが？」

「なんか距離が近いというか。」

今の状況がそれだ。なんというか付き合う前はもっとさっぱりしていて、甘えてこない猫のような感じを想定していた。

「嫌いになった？」

「いや、別に」

むしろもっと好きになった、けどそれを口に出すのは恥ずかしすぎるので言わない事にする。

「あと束縛もしてくるよね。なんか意外だった。」

付き合っても彼女のことはほったらかしにしそうだなと思っていたのに、付き合ってみたらそんな事はなくむしろ私の行く先々を気にしたり頻繁に電話してくるようになった。

愛されてるって証拠なんだろうなと嬉しい気持ち半面、彼のことを不安にさせてるのかなという気持ちもあり、なんだか申し訳ない。

「俺もさAと付き合う前までは束縛とかしないタイプだと思ってたんだけどさぁ」

スマホを持つ手を後ろから優しく握られる、私のより大きく暖かい手が落ち着く。

「放っておいたらどっか行っちゃうんじゃないかって思ってさ、離したくないんだよね。」

いつもより小さく柔らかい声色でそう言うぐちつぼ。

あぁ、やっぱり不安にさせてたんだな。

私はスマホを床に置いてぐちつぼの手を握り返した。

「大丈夫。私はどこにも行かないよ。」

「本当か？」

「うん、私たちは運命の赤い糸で繋がってるからね。」

小っ恥ずかしくなって冗談っぽく笑って誤魔化した。

赤い糸なんて信じていないけど、でもやっぱりぐちつぼが運命の相手だったらいいなと思う。

「なんだそれw」

ぐちつぼも笑って返してくれる。

「あとさ、付き合う前とイメージ違うって言ったけど、
私にしか見せない顔があるんだなって知れて嬉しかったよ。」

「なんか恥ずいわ。」

後ろにいるから表情は見えないけどきっと照れているだろう、ぐちつぼの手の温度が上がった気がした。