【短編集】アルバム【gnki】 (ページ24)

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彼女の口車に乗せられて渋々廃墟の中に入ってしまった、廃墟の中は予想していた通りに汚いそして暗い。

暗い室内で見る彼女は何故か不気味に見えてしまい
幽霊と言う漢字二文字が頭の中に浮かんでくる。

「早く出ない？なんかここ嫌なんだけど。」

一刻も早くこの場から去りたいと思った。

歩くたびに床がギシギシと音を立てる。

不思議と床や窓の縁に埃は溜まっていない、もしかしたら外見はボロいが最近まで人が住んでいたのかもしれない。

「実はさー、ここの二階に面白い部屋があってそれを見せたかったんだよね。」

彼女は俺の話など全く聞いていない。

怖がる様子もなく、暗い室内を迷う事なく進んでいく。

「おい、待て危ないだろ。」

慌てて後ろをついて行く。

床の端にネズミが死んでいるのが見えて顔を顰める。

彼女の言う部屋に近く程になんだかキツイ臭いもする様になってきた。それなのに彼女は躊躇なく進み続ける。

何か嫌な予感がする。

「着いたよ、先に中入りなよ。」

案内されたのは扉のついた部屋の前。

彼女は優しく俺の背中を押して扉の前に立たせた。

「開けなよ。」

彼女の優しい声色が何故か不気味に感じてしまい

顔を見ることが出来ない。
そのまま俺はゆっくりと扉を開けた。