【短編集】アルバム【gnki】 (ページ23)

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どれくらい歩いただろうか、住宅街から離れ段々と人気のない場所へ進んで行く彼女を追う。

「なぁ、どこまで連れてくつもり。」

疲れている俺とは反対に彼女は汗ひとつかいていない。

「もう着いたよ。」

彼女が指差した先を見た。
ボロボロな外壁に草の生い茂る広めの庭、見るからに誰も住んでいなさそうな廃墟がそこにあった。

「お礼に見せたいものってこれか？」

どこまでも予想外の行動に理解出来ず、聞いてしまう。

「そうだよ、肝試ししようよ。」

にこりと笑いながら突拍子のない事を言い出す彼女。
その笑みは俺を試しているかのようだった。

「やだよ、お礼が肝試しってなんだよお前一人で行け。」

こういうのが苦手とは正直に言わないが、なんとかこの廃墟に入るのだけは阻止したい。

「怖いんでしょ。」

それでもコイツは引かないようで煽るように俺の顔を覗き込んでくる。

「古い建物なんだから老朽化進んでそうじゃん、床とか抜けたらどうするんだよ。虫とかもいそうだし。」

危ないことはするもんじゃない。幽霊と間違われるくらいにか弱そうなコイツと行くなら尚更だ。

「あぁ、それなら大丈夫だよ。昨日下見にきたから。」

当たり前かのようにさらりと衝撃的な事を言う。

わざわざ下見にくるか？こんな所に。

「なに、そんなに行きたかったのw」

俺も煽り返したつもりだった。

だが彼女の様子は少しおかしい。

「そうだよ、ほら行こ。」

そう言って彼女は、日傘を掴んでいない方の手で俺の腕を掴んだ。

急に触れて心臓がドキッと鳴るが俺は平静を装う。

俺より体温の低い彼女の手はひんやりしていた。