〇〇しないと出れない部屋（rd） ページ12
目を覚ますと真っ白な見覚えのない天井。
そして隣にはらっだぁがすやすやと眠っていた。
なにが起きているのか理解出来ない。
同じベッドに付き合ってもいない男女が寝ているのは絵面的に流石にまずいと思い、らっだぁがこの状況に気づく前にベッドから起き上がる。
周りを見渡すとドアと見てくださいと言わんばかりに目立つ看板が一つ。
〇〇しないと出れない部屋。
デカデカと看板に書かれている文字を凝視してしまう。
「いやいや、そんなまさか。」
ファンタジーでしか聞かない状況にさらに困惑する。
よく見ると〇〇という部分は真っ黒なペンで塗りつぶされており何が書いてあったかはわからないようになっていた。
足元にはペンが落ちてある、きっとこれで塗り潰したのだろう。
「さて、どうするか。」
らっだぁに目をやると気持ちよさそうに眠っている。
こんな部屋に閉じ込められてしまったが幸いにも私はらっだぁが異性として好きだ。
同じ会社で働くうちにその優しさに惚れてしまったのだ。
私はらっだぁに顔を近づけた。
こうやってまじまじと顔を見る事もない、よく見ると綺麗な顔してるな。なんて事思いながらもう少し近づく。
意外とまつ毛長い、髪の毛も綺麗だ。
「Aちゃん？」
勢いよく体をらっだぁから離す。
いつ、起きたの？
いつから見られてた？
冷や汗が止まらない。
「今、俺に何かしようとしてたでしょ。」
らっだぁはベッドから起き上がる。
「Aちゃんのえっち！」
「ちょっ違っ！やめてよ。」
思わず大きな声が出る。
変な誤解はされたくない。
私が寝込みを襲うような女だと思われたら今後の関係にも支障が出てしまう。
「そんなことより、らっだぁあれ見てよ！」
なんとか気を逸らそうと看板を指差す。
らっだぁは看板の文字を読み終わると
なるほどねと呟いた。
「ふーん、通りで見たことのない部屋にいるわけだ。」
看板を見て今の状況に納得したらしい。
この部屋に対する情報量が私と同じになったところでわたしはらっだぁに助けを求めた。
「ねぇ、らっだぁどうしよう。この部屋から出れるかな。」
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作者名：ちゃそ | 作成日時：2022年5月29日 1時
