【短編集】アルバム【gnki】 (ページ2)

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俺の手は宙を掴んで、窓の縁に腰掛けてたはずの彼女が居なくて、間に合わなかったことに気がつく。

そして彼女が視界から完全に消えてしまったところで、俺は今の状況をやっと把握した。

はぁー、大きくため息をつく。安堵感からだ。

「くふっ、あっははは。」

窓の外からは愉快そうに笑う彼女の声。俺は呆れながら窓に近づき、窓から下を覗いた。

「ここ、一階だよw」

あーおかしい。
なんていいながら彼女は地面に寝転がっている。

「ふざけんなw早く上がってこい。」

一階の窓は地面との距離はそこまなく、落ちても怪我はない。そう、俺は騙されたのだ。

彼女が無事だった安心感とか、必死になってしまった事への恥ずかしさとかが色々混ざって力が抜けた。

「お前さぁ、ビビらせんなよマジで。」

「あぁ、おもしろかった。あんな必死な顔のぐちつぼ初めてみたw」

俺の心配をよそにケラケラと楽しそうに笑う。
その笑顔にまた心が揺れる。

「恥ずいからやめてくれ。」

「よかったー、なんだかんだ言ってぐちつぼも私のこと好きじゃん。」

あぁ、このままなら。この雰囲気なら、俺も素直になれそうな気がする。

「そうだよ。なんか悪いかよ。」

俺が素直に認めたことで、さっきまで笑ってたあいつが少し驚いたような表情をした。

「てか、お前もずっと好きだったってどういうことだよ。」

彼女は珍しく恥ずかしそうな素振りをした。

「それは、まぁ、うん。そーゆー意味だよ。」

ごにょごにょと声が小さくなっていく。

「卒業だしね！うん、最後くらい本当のこと言おうかなーって。」

彼女は恥ずかしさを誤魔化すように話す。

そーゆー意味って、恋愛としてってことでいいんだよな……？嬉しさでにやけそうなところを我慢して言葉を続ける。

「俺も、ずっと好きだった。」

「ほんと？じゃあ卒業しても私と会ってくれるって事だよね。」

あぁ、寂しかった心が温かさで満ちていく。

「当たり前だろ、ほら帰るぞ。」

今日くらい少しは素直になろう。そう決めて俺は彼女の手を繋いだ。