【短編集】アルバム【gnki】 (ページ1)

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卒業（gt）ページ1

「もう卒業かぁ、あんまり実感湧かないなぁ。」

二人きりの教室で、寂しげに呟いた彼女は同じクラスの同級生。そして俺が密かに想いを寄せている相手だった。

彼女は窓の縁に腰掛けて、足をぱたぱたと揺らした。足を動かすたびスカートがヒラヒラ揺れる。
窓の外は見事な晴天で、窓の外から差す太陽の光と彼女の黒髪がとても綺麗だった。

「まぁ、俺はお前の顔見飽きたから卒業できて嬉しいけどなーw」

冗談だって伝わるように少し半笑いで伝える。そして自分の中の寂しさも誤魔化す。

「えー、もう会えないかもしれないんだよ？悲しくないの？」

「えぇ？いやー別に。」

本当はもっとコイツと喋っていたい。
会いたい。けど、そんな言葉は口に出せない。

「あーあ、そんなこと言っちゃうんだ。私はぐちつぼと仲良くなれたと思ってたのに。」

仲良くなれた、その言葉が嬉しかった。そっか仲良いって思ってくれてたんか。同時にあまりにも素直な言葉を使う彼女が羨ましくも思えた。

「まぁ、ぐちつぼはいつも素直じゃないから仕方ないね。」
「なんなんマジで、うぜーw」

素直に、俺も仲良くなれて嬉しい、本当は好きだったって伝えることができたらいいのに。

俺には恥ずかしすぎて言葉にできない。

積もらせた想いを伝えられないまま卒業するとか、俺ってこんなにヘタレだったか？そう思っていた時だった。

「あのね、ぐちつぼ。」

彼女はさっきとは違う声色で確かに俺のことを呼んだ。

「一緒に卒業できて嬉しいよ。ぐちつぼにとって私はただのクラスメイトで、いてもいなくても変わらない存在だったと思うの。」

「でもね。」

刹那、息が詰まる。

「私はぐちつぼのことずっと好きだったよ。」

口より体が先に動いた。彼女はそう述べた直後、窓の縁に座ったまま後ろに、窓の外に倒れたのだ。

「おまっ！」

ふわりと黒髪が風に舞う。
あの真っ白で華奢な腕を掴みたくて
必死に手を伸ばす。

あと少し
あと少しで

届かなかった。