【WT】この恋を思い出にしたくなくて【Kr】 (ページ3)

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『ね〜ぇ〜先輩の好きな物なんだと思う〜？』
《え〜？知らないよぉ〜》

恋に落ちたあの日から数日。
休み時間に机にだらりと伏せながらスマホをいじっていた。
スマホの検索履歴は全て似たような言葉で埋まっていた。
例えば、”高校生男子お礼喜ばれるもの”とか
”高校生男子もらって嬉しいもの”とか。
私は先輩が2年生ということ以外何も知らない。

《ねえ購買行かない？》
《ありあり》

そんな一言から購買へ向かうことになった。
みんなは甘い物食べたいとか焼きそばパンあるかなとか話していたけど私は先輩のことばかりだった。

『ハンカチ？でも知り合ってすぐの人にハンカチ貰うのはさすがに…？』
『だとしたらお菓子とか？あ〜甘い物苦手だったらだめかあ』

《はは、あんたほんとに先輩のことばっかだね》

窓から入る風が心地よかった。

『そりゃだって突然落ちてきた私を受け止めてくれたんだよ？かっこよくない？』

《あ〜恋しちゃったのぉ？》

『さあね』

【王子様って思っちゃった？】

『まぁ…………え？』

私と友達との会話にさらりと入ってきた気だるげな声。
思わず後ろを振り返った。

【やっぱり！シータちゃん！】

そこには先輩の周りにいた1人だった。
背が高くて赤いパーカーを着ていたのでよく覚えている。

『えっと……』

【ブルークだよ！】

『ブルーク先輩こんにちは』

『シータって私のことですか？』

【そーだよ！】
【空から落ちてくるなんてまんまラピュタじゃん！】
【みんなでそう呼んでるの】

随分不思議なあだ名で呼ばれてるんだなと思った。

……ん？みんな？

『え、きりやん先輩もそう呼んでるんですか』

【うん！たまーにだけどね！】

まずい。と頭を抱えた。
不思議なあだ名で変な印象が残ってしまったかもしれない。そんな思いを消すためにさっきまで考えていたことを聞いてみることにした。

『そういえば、きりやん先輩の欲しいものとか知りませんか？』

【えー？うーん…】

【そーゆーのは自分で聞いた方がいいんじゃないかなあ？】

ブルーク先輩は私を諭すように言う。
その時私は悟った。
あ、これ下心ばれてる。
たぶんブルーク先輩は外堀を埋めようとする人が嫌いなんだと思う。

『そうですよね！すみませんずるいことして』

【んーん！ちがうの！】
【いるから！本人！】
ほら、ブルーク先輩が指を指す。

………………え？いる？