2 ページ5
歩いて10分ちょい。
本当に、この位ならタクシー要らないじゃないですか。
部屋の鍵を開けて、『先にどうぞ』と中に促される。
おずおず、といったように玄関先で
靴を整えながら脱いでお家に上がる。
膝丸くんは実家暮らしだし、
一人暮らしの男の人の家に上がったのは初めてだ。
髭切「弟来ちゃうかもしれないから鍵閉めるね」
A「あ、すいません……」
髭切「気にしなくていいよ。
適当にソファーにでも……えっと〜、横になってて」
A「流石に横には……」
『それはそうか』とけらけら笑いながら
私の前に暖かい紅茶が置かれた。
最初からテーブルに置いてあった
小さめのカゴには
大量のスティックシュガーと
ポーションミルクが入っている。
膝丸くんはコーヒー派だけど
お兄さんは紅茶派なんだ。
私と一緒だ、だなんて
ぼーっと出された紅茶を眺めていると
お兄さんがテーブルを回り込んで
私の隣ではあるがソファーではなく床に座った。
髭切「カフェイン入ってないから気にしなくていいよ」
A「あ、ありがとう、ございます……」
別にそんなことは考えてなかったけれど
促されてカップに口を付ける。
傾けるとアールグレイの香りが広がった。
凄い、ものの短時間で出された紅茶とは思えない香り。
髭切「……ねぇ、やっぱり妊娠してる？」
A「ッ、ごほっごほっ」
髭切「ありゃりゃ、はいティッシュ」
いきなり図星をつかれて
含みかけた紅茶がむせて少しだけ飛び出す。
こんな創作の世界みたいなこと現実にあるんだ……
というかお腹、まだ出てないはずだけど。
パッと見では全然分からないはずだし、
普通にずっと気をつけているつもりなんだけど。
A「なん、で」
髭切「うーん、勘かなぁ」
A「勘」
髭切「図星だったかぁ」
にこにこと笑顔を向けてくるお兄さん。
逆に私は冷や汗が止まらない。
誤魔化そうにも、そうです。みたいなリアクションをしてしまった手前
誤魔化しきれないことは明確。
観念してどうせ聞かれるはずの
事の発端、もとい膝丸くんとの別れ話の全貌を語ることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美葵 - 面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2022年12月13日 20時) (
レス) id: 1084734db6 (このIDを非表示/違反報告)
万(プロフ) - すっごくドキドキしながら見てます…！！ 続き楽しみにしてます！ (2022年12月6日 10時) (レス) @page11 id: be844da8b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こまめ | 作成日時：2019年12月25日 0時
