不死鳥が惚れたのは火の鳥でした【Part3】 (ページ6)

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０８４アカンネタ切れだ笑ページ6

｢なんだよぃ……こりゃあ…。｣

マルコが見たのは、火の鳥の群れ

彼らの中心にいるのはずっと探していた愛しい恋人(ヒト)

しかしAの表情はどこか虚ろで、心做しか少し幼く見えた

まるで中身が空っぽのような……そんな感じがした

よく見ると、左目に傷があった

本来の彼女なら治癒している筈だ

マルコは辺りに注意を払いつつ、Aに近付いた

『……………。』

虚ろな瞳のまま、Aはマルコを見た

「A、帰ろうよぃ。みんな待ってる。」

そう言って手を差し伸べた時だった

『アナタは……誰？』

聞きたくなかった答えが、返ってきた

返ってきてしまった

「っ……俺はマルコだよぃ。」

『……マル…コ……懐かしい名前…でも、思い出せない。』

恐れていたことが起きたのだろう

しかし傷が癒えていないことが、不思議だった

瀕死でも、その身を焼けばどんな傷でも癒える

昔、A本人から聞いたことだ

「？どうした…？」

Aはマルコの手を見つめたまま動かない

『ここからは出られない……あの子が、死んじゃう。』

そう言って指を指した先には、鎖で身動きが取れずに藻掻く大きな火の鳥

「A、能力は使えるのかよぃ？」

『能力…？なにそれ。』

首を傾げた彼女に、更に質問を投げかける

「今、幾つだ。」

「……多分、２３。」

その答えに、マルコは確信した

彼女に宿っていた火の鳥が囚われたせいで、力が奪われてしまったのだ

幼く見えるのは体が少し小さくなったからだろう

マルコはAの手を掴んでそっと立たせた

彼女が立ち上がった瞬間、地が揺れた

そして黒い影がマルコとAを取り囲む

まるで逃がさないとでも言いたげな影に、マルコは舌打ちを零す

「A、走れるかい？」

Aの頬に手を添えて問えば彼女はコクリと頷いた

「いいか？俺から目ェ離すな。そして走るんだよぃ。」

彼女が再び頷いたことを確認したマルコは、1度Aから離れて影たちを蹴散らす

僅かにできた隙間を見つけたマルコは、即座に彼女の手を取りひたすら走った

しかし

『あ…っ！』

そんな声と共に、ドサリと音がしてマルコは振り返った

Aが足を挫いたのだ

ここで立ち止まっていてはすぐに影に追いつかれる

すぐそこまで影の大群が見えた時だった

轟音と共に辺りは炎に包まれた