女医とパイナップル (ページ4)

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『…ん……モネさん…今なん…じ…？』

ムクリと起き上がり、目を開けると知らない男がカウンターに腰かけていた

｢お、眠り姫が起きたねい。水、飲むかい？｣

『え……あぁ、はい。いただきます。』

眠そうな目をした特徴的な髪型の男は傍にあったコップを彼女の前に差し出すと微笑んだ

『ありがとうございます。…えっと…』

｢あぁ、俺はマルコだ。ここの店主とは腐れ縁でねぃ。｣

Aの言いたいことを察したマルコは、彼女の首を見ながら答えた

｢(傷…かよぃ？)｣

『あー、さちまるですかここ。……エースくんかな。』

水を一口飲むと、Aは自信のいる場所がさちまるだと理解した…が、マルコが首を見ていることに気付くとそっと傷跡を手で隠した

｢っ！すまねぇ…痛むかい？｣

即座に顔を逸らして謝罪をするマルコは後ろに人がいることも忘れていた

『いえ……ってサッチさん？いつまで見てるんですか？』

厨房の影から見ていたサッチはニヤニヤしながら卵焼きを持ってきた

｢いやぁ…この堅物が君にベッタリだったからつい見物しちゃったよ…。はい。俺様特製厚焼き玉子よ！｣

サッチの発言にマルコは酒を飲み干してから答えた

｢お前に言われたくねぇよい。｣

｢まあ酷いわ！サッチちゃん悲しいっ！｣

サッチが内股でオヨヨ…と泣く素振りをするとAが笑った

『アハハ…なんだかサッチさんがオカマバーのママに見えてきました。』

その発言に、マルコは酒を吹き出しながら笑った

｢ハハッ！そりゃいいねい！お前さん今年の忘年会にそのネタやれよい！！｣

マルコはバンバンとサッチの背中を叩くと、ゆっくりとAに寄りかかった

『え、ちょ…マルコさん！？』

既に寝息を立て始めているマルコに、サッチはやれやれとマルコをAからひっぺがした

｢ごめんねAちゃん。コイツ普段から苦労人でよ…精神的に病むとここによく来るんだ。｣

マルコを寝かせると、サッチは彼女が泣いていることに気がついた

サッチがそっと手を握ると、Aは涙を拭った

『すみません…私のせいであなたに酷いことを。』

俯く彼女に、サッチはポンポンと頭を撫でながら笑った

｢いやいや、Aちゃんがいなかったら今頃俺はここにいないさ。命があるだけで十分さ。自分を責めちゃいけないよ。｣

『…はい。すみません、そろそろ帰りますね。サッチさん、マルコさんもおやすみなさい。』

そう言って彼女は店を出ていった