警視庁の狼さん (ページ5)

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『…ぅぅ………。』

左脇腹を抑えて壁に寄りかかったA

慌てて部下が声を掛けるが、手で制された

部下は伊丹たちが歩いてくるのを見つけると、彼らに敬礼をするのだった

Aが痛みでおさえているところからは血が滲んでいた

壁に背中を預け、彼女は天井を見つめて長い溜め息をはくと…近付いてきた杉下らを見た

｢大丈夫ですか？｣

『………大丈夫です。…ただの寝不足。』

辛そうな彼女の言葉に、伊丹は彼女を抱きしめた

｢えっ！？｣

冠城は驚きで、杉下は見守るような表情をした

｢馬鹿野郎！こんな……こんなフラフラなのに仕事するなよ！ちったァ休め…！｣

伊丹が叫ぶと、ジャカリと銃が向けられる音がした

『…よせ。花村、なぜここに来た？』

伊丹に銃を向けている隊員は、まだあどけなさが残る若手の女だった

｢報告する為です。ですが、セクハラを受けている隊長が放っておけなくて…。｣

その言葉に、少しだけ笑ったAは伊丹から離れ、花村の報告を聞いた彼女は目の色を変えて部下と共に何処かへと歩いて行くのだった

｢もしかしてお二人って付き合っ……イッタ！！何すんですか右京さん！｣

｢行きますよ。｣

伊丹に質問をしようとした冠城は、杉下に足を蹴られ、置いていかれるのだった…

｢チッ…なんで相談しやがらねぇんだ……。｣

イライラしながら、伊丹は会議場所に戻った

｢呼び立てて済まないね。…怪我は？｣

Aが辿り着いたのは大河内の執務室だった

『平気です。』

淡々と答える彼女に、大河内は小さく溜め息をついた

『監察官のお怪我は……？』

｢君のおかげで軽傷だ。…あの件は少し捜査が進んでから公表するが、構わんかね？｣

大河内との会話の内容を知る花村は、今にも倒れそうな隊長をチラチラと気にしていた

『はい。』

……数日前、大河内がヤクザ者に殺されかける事件があった

護衛に付いていた彼女と花村、天羽が対応したのだが…

スナイパーに狙われていた大河内に気付き、身を呈して守った大狼が負傷したのだ

天羽が残り、彼女の治療を

花村はヤクザ者を蹴散らすと、近くの交番の職員2名を連れて狙撃ポイントに向かった

しかし、綺麗に片付けてあり…証拠には繋がらなかったのだ

天羽のおかげで意識を取り戻した彼女は救急車で運ばれた

駆け付けた救急隊員が、サーローヴァーチェの人間と知らずに