ただ、それだけ (ページ32)

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松村

今日は先生に呼ばれた

なんか、もっとちゃんと授業受けろ、みたいな

すんごい怒られちゃった、俺

んー、もうやだぁ

今日は大我くんが来るんだよな

惨めな気持ちになってるときに自分よりすごい人見るとなんか、すごく、逃げたくなるんだよね

…だって大我くんって俺にないものをたくさん持っていて、そんな代表的な存在だから、なんだか、会いたくない、かも

ぁ、そんなことを考えていたらいつものようにドアフォンがなった

大「北斗、こんにちは」

北「ぁ、大我くん、こんにちは」

緊張してうまく話せない、なんだこの会話、教師と人見知り生徒か、

…って、その通りかも？

ぎこちないせいで目の前の大我くんは不思議な顔をしている

大「…今日何かあったの？北斗」

こういうことをずばっと聞くのが大我くんだ

北「先生に、ちゃんとしろって、怒られた」

そして、それに答えてしまうのが俺だ

次の瞬間、大我くんの目が少しだけ開いた気がした

大「そっか」

ソファに座っていた俺の隣に座って頭を撫でてくる
言葉は少し冷たいけれど甘やかせてくれる

そんな空気感が心地よい、と感じるところはあるのだ