とびきりの愛をキミに【怪盗ジョーカー】【短編集】 (ページ4)

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スペード① ページ4

愛する人へ愛を伝える日──バレンタインデーにAは飛行船ツインサンダーシャークを訪れていた。
ｽﾍﾟ「キミからココに来るなんて珍しいね。もしかしてボクに会いに来たのかい？」
Aの向かい側のソファで優雅に紅茶を飲んで居るのはこの飛行船の持ち主であり世間を騒がせている怪盗スペードだ。
貴「まぁそうなるね。はい、これ。いつもありがとね」
彼女はそう言うと懐から小包を取り出してスペードに差し出した。
彼は嬉しそうに小包を受け取った。
ｽﾍﾟ「開けてもいいかい？」
貴「もちろん」
そう言われると彼は上品な手つきで小包を開け始めた。
そんな彼の姿を見てAは「絵本から出てきた王子様」みたいだな…と少し見とれてしまった。
ｽﾍﾟ「わぁ…美味しそうだね。ありがとう。」
小包の中には可愛らしいドーナツが入っていた。
喜んでもらえてよかったと安心してAは出された紅茶を楽しもうとしたその時大事な事を思い出し、思わずソファから立ち上がってしまった。
貴「あ、いけない！他の人にも配りに行くんだった！」
彼女は紅茶を一気に喉に流しこみ、コトンとカップをテーブルに置いた。
貴「紅茶、ありがとう！またね！」
そう言い残すと彼女は出口へ走っていった。
ｽﾍﾟ「嵐みたいだったな…」
その様子を見ていたスペードは貰ったドーナツを茶菓子に紅茶をもう1杯カップに注いだ。