北上中学校と坂の謎

茜野瑠里 ページ4

女子と言うのはわかりやすいものだ。

自分よりかわいい、または綺麗な女の子には嫉妬する。

顔にも、態度にも透かしたように見える。茜野さんも気が付いたらしく、女子には少し

怯えたような顔をしているようだった。

そんな彼女は、私を見ると、こちらに近づいてきて、確認するように言った。

「あの……私、クラスの女子に嫌われた…………？」

私は少し頷く。「多分。女子はわかりやすいね」

茜野さんは不思議そうに言う。

「でも、あなたはそんな顔をしていないじゃない。私のこと嫌いじゃないの？」

私は頷く。可愛いだけで嫉妬するなんて、ただのアホなんじゃない？

茜野さんはまた、可愛い笑顔を見せる。

「ありがとう。前の学校でも、それが理由で、女子の友達なんて数人しかいなかったの」

私は茜野さんを見る。人の目を見ていれば、嘘か本当かなんてすぐわかる。

茜野さんは真剣な目をしていた。正直で、曲がったことは嫌いだ、という目。

「そうだったんだ……。ねえ、茜野さん、この本のこと知ってるの？」

茜野さんは驚いて数歩下がった後、聞く。「どうしてわかったの！？」

私は、「ごめん」と謝りながら、彼女に言った。

「話しているとき、ちらっとだけど、本の題名を見ていたでしょ？その後の表情は、知っている
人がほかにもいたんだな、って言う顔だったから」

茜野さんは、この説明に納得したようだ。

「そうだったんだね」

先生はすでに、職員室に行っていたため、話していても何も言われなかった。



茜野さんは、私の前の席になった。

みんな、いろいろな話をしている中、聞こえてきた声に私は耳を傾けた。

『ね、知ってる？北上坂の謎』

『えー？知らない』

『先生が言ってたよ、さっき』

『あー、生徒が消えたって言うやつ？』

『そうそれ！』

『何それ、怖……』

これだけしか聞こえなかったが、私は興味を持った。

生徒が消えるなんてありえない。そう思ったのだろう、聞いていた男子が大声で言う。

「北上坂で生徒が消えるなんて嘘じゃねえの？」

男子は笑っていたけど、さっきの話をしていた女子は真剣な顔だ。

「その消えた生徒、私の友達なの……」

何となく、静かになった。その子の顔も、決して嘘をついている顔ではなかったからだ。

「その子だけじゃないの。何人も行方不明になっているんだって。しかも夜」

みんなは、夜に北上坂に近づかないようにしようと思った。

しかし、秋は調べに行こうと思った。

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