北上中学校と坂の謎

新しいクラス ページ3

この学校には、言い伝えとかあるのかな……。

と言っても、私はそう言うのが好きなんじゃないの。

周りの子たちに、ちゃんとした説明をするのが好きなんだ。

え？一体誰だって？

そう言えば、まだ自己紹介をしていなかったわね。



それでは改めまして――。

私の名前は、加藤秋。北上市に住んでいる中学二年生。妹が一人いる。

妹は夏美。私と違って元気で活発な子。

私は素っ気なくて、教室の隅で読書をするのが好きな女の子。

冒頭部分でも言ったけど、私は言い伝えとか、そういうものは信じない。

大体は科学的に証明できるものだもの。信じる信じない以前の問題ね。

前に、夏美に話して聞かせたら

「お姉ちゃん、夢は壊しちゃだめだよ」

って言われた。けど、嘘だってわかるものを証明することは好き。

実際、読書以外はそういう事に時間を割いているんだもの。

そんな私は、将来考古学者になりたいんだ。

考古学者って、何か歴史を追及しているようなイメージがあった。

何より、自分は仲間と一緒にわいわい……っていうタイプじゃない。



入学式になって、いろいろな人が入学してきた。

私の席は、教室の隅っこ。読書をするのに最適だ。

いつもは騒がしい教室。なのに、今日は静まり返っている。

シーンとしていて、まるでお葬式のような空気だ。

何があったんだ、と思って顔を上げると、そこには可愛い女の子がいた。

顔立ちが整っていて、完璧な体系。派手すぎず、地味過ぎず。

その隣には、担任の先生がいた。こちらはフワフワしている感じがする。

何時も騒いでいる男子が大人しいのは、先生の隣にいる女子が気になっているからだろう。

「静かにして！」

先生の少し大きな声で、喋っていた女子も静かになる。

「このクラスに転校してきた、茜野瑠里さんです。瑠里さん、自己紹介して」

転校生が入ってくるまで、私は読書をしていた。

北上中学校は、一年の時からクラス替えがない。今どき珍しい方針だ。

先生の隣には、茜野さんしかいない。ということは、転校生は一人なのだろうか。

考えている私に構わず、茜野さんは自己紹介をしていた。

「茜野瑠里です。趣味はショッピングです！よろしくお願いします！」

言い終わると同時に、かわいらしく笑って見せる。同時に、クラス中の拍手に包まれた。

しかし、女子はあまりよく思わなかったようだ。

「何か、わざとらしい」


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※茜野は『あかねの』と読みます。

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