それとも私はどうでもいいんですか? ページ31
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律「婚約者…」
『すごいよね!私、全然知らなかった…。結構、仲良くなったって思ってたんだけどな』
律「Aちゃん…」
気遣うように体をこちらに向ける。優しいな、やっぱり。
律「でもまだ、婚約者って決まったわけじゃない…!もしかしたら冗談かも…」
『冗談で許婚なんて言うかな。私なら言わない』
律「それは…!そう、だけど…」
頬を掻きながら、目線が下にさがる様子を見て、立ち上がる。
『もう大丈夫。ごめんね、こんな時間まで。心配までさせちゃって…帰ろう』
律「!僕は全然いいんだ。でもAちゃんが…」
『本当に大丈夫だって』
律「そんな…!」
『あとは!…あとは1人で全部、片付けるから』
今までの時間も、思い出も、気持ちも。
律「僕の出番じゃないってことだね…」
『あっ…。ごめん、強い言い方して。でも、もう本当にいいから』
これ以上甘えてしまうのも、申し訳ない。
律「すごく辛いときは…いや、そうじゃないときもいつでも連絡して。Aちゃんの力になりたいんだ」
『ありがとう、律くん』
その言葉だけで、わたしは。
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『こんなところまで送ってくれてありがとう』
律「いや…。気をつけて帰ってね。本当、いつでも連絡して」
『うん…律くんも気を付けて』
結局あのあと家の近くまで送ってくれた。小さくなっていく背中が心配そうに何度も振り返るのを見送る。
家に帰りつくと、毎度おなじみのごとくベッドに倒れこむ。今日はいつもより、ずっと、ずっと疲れた。
『理由はわかりきってる…』
目を閉じると、張り付いたみたいに浮かんでくるあの場面。まるでトラウマだ。いや、トラウマなのか。頭の中が真っ白になる感覚を初めて味わった。
『今すぐ寝たい…でもせめてメイクだけは落とさないと』
なんとか立ち上がり、洗面台に行こうとしたその時、携帯電話が目に入る。そういえば、光原先輩に連絡したっきりだった。それを開くと、
紘基そうか。大した用事でもないし大丈夫。じゃあまた執行部で。
『大した用事じゃ、ないんだ。あれが…?』
あぁ、光原先輩。私、あなたが好きなんですよ。
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みびみやこ(プロフ) - おバカな莉久(サブ)さん» はじめまして。凄く好きだと言って頂けてとても嬉しいです!必ず完結までいきつきますので、お待ち頂けますと嬉しいです。これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2022年2月10日 19時) (レス) id: e70206d298 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな莉久(サブ) - はじめまして!このお話凄く好きです!更新再開(?)おめでとうございます!無理だけはしないでください!これからも更新ゆっくり待ってま〜す! (2022年2月9日 22時) (レス) @page38 id: ddd40ab2e7 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - みびみやこさん» わああっおかえりなさい、待ってましたー!ゆっくりで全然大丈夫なので、無理せず頑張ってください…! (2022年2月8日 1時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 返信が遅くなり申し訳ございません。この度、更新を再開しました。待っているという言葉、すごく励みになります!更新頻度についてはゆっくりではありますが、完遂しますので最後まで見守ってくださると嬉しいです! (2022年2月6日 21時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - 更新停止…寂しい…でも私はいつでも待ってます!って言ったらプレッシャーになっちゃうかな…もし戻ってきたら私も戻ってきます、この作品を忘れません!ってことです。リアルでの生活も、無理しないように頑張ってください…! (2021年12月27日 22時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2021年9月28日 14時