沈むように、溶けていくように ページ30
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律「Aちゃん、だよね?どうしたの…?」
律くんがこちらに駆け寄り、様子を伺っている。
『私っ…わたしっ…!』
律「えっ!?泣いて…!?え、え、えっと、これ!」
ぼやける視界の中、差し出された手からティッシュらしきものを受け取り目に当てる。
律「と、とりあえず、そこ座ろう!ベンチあるから!」
背中をさすられながらなんとか移動する。その間も涙が止まることはなかった。
話せるようになるまでさすってくれている手が、すごく暖かかった。
『ご、ごめん…っ!いきなりっ、こんな…!』
律「気にしないで。少し待ってて、飲み物買ってくるよ。ティッシュここに置いてるから」
その言葉にハッとした。今は一人には…そんな寂しさに思わず、服の袖に手が、
『(流石にそこまで頼るなんて…)』
伸びた手をそっと下げる。
『(帰ってくるまでになんとか話せるようにしないと)』
置かれたティッシュを何枚か取り、目と鼻を拭う。夜でなければ、ぐしょぐしょの顔を見られるところだったと思うと、不幸中の幸いとでもいえるだろうか。
『不幸が大きすぎるけどね…』
呟きが秋風に溶けていく。そこまで人通りの多い道じゃなくてよかった。頭の整理がつきやすい。
そこに近づく、すこし早い足音。
律「お待たせ。水とあったかいココアどっちがいい?」
『ココアかな…。ありがとう』
あ、鼻声だ、なんて思いながら受け取ると、あったかいというか熱い温度の缶。でも今はそれがちょうどよかった。
律「…。…。…大丈夫?」
『ふふ…。大丈夫じゃないよ…!笑』
必死に言葉を探して、捻りだしたような話し方についつい笑ってしまう。私の答えに更にあたふたする律くんを見て、もっと笑ってしまった。
『あー!笑ったぁ!!はぁー…。…あのね、』
そこから、今日起こったことを話す。律くんは、静かにときどき相槌を打ちながら聞いてくれた。
『…だから、もう私は…っ。光原先輩のことを、諦めなくちゃいけない』
月の見えない夜空を見上げて、なんとか口角を上げた。
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それとも私はどうでもいいんですか?→←辛いときに居てくれる友達と、腹痛のときの察し先生ほど安心するものなくね?
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みびみやこ(プロフ) - おバカな莉久(サブ)さん» はじめまして。凄く好きだと言って頂けてとても嬉しいです!必ず完結までいきつきますので、お待ち頂けますと嬉しいです。これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2022年2月10日 19時) (レス) id: e70206d298 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな莉久(サブ) - はじめまして!このお話凄く好きです!更新再開(?)おめでとうございます!無理だけはしないでください!これからも更新ゆっくり待ってま〜す! (2022年2月9日 22時) (レス) @page38 id: ddd40ab2e7 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - みびみやこさん» わああっおかえりなさい、待ってましたー!ゆっくりで全然大丈夫なので、無理せず頑張ってください…! (2022年2月8日 1時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 返信が遅くなり申し訳ございません。この度、更新を再開しました。待っているという言葉、すごく励みになります!更新頻度についてはゆっくりではありますが、完遂しますので最後まで見守ってくださると嬉しいです! (2022年2月6日 21時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - 更新停止…寂しい…でも私はいつでも待ってます!って言ったらプレッシャーになっちゃうかな…もし戻ってきたら私も戻ってきます、この作品を忘れません!ってことです。リアルでの生活も、無理しないように頑張ってください…! (2021年12月27日 22時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2021年9月28日 14時