辛いときに居てくれる友達と、腹痛のときの察し先生ほど安心するものなくね? ページ29
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『(いま、なんていった…?)』
うそだ。
『(ききまちがい?)』
そんなわけない。
『(たしかにあの人、いま、)』
だってだってだって…!!!
『(いいなづけっていった?)』
そんなのって…
『…。すみません、通ります。すみません、通ります。すみません…。っ!!』
ひどすぎる。
思ったのが先が、足が先か。いつの間にか、光原先輩とは逆方向の正面玄関へと進んで…そして走ってた。
『はっ…!はっ!ふっ!っう…!はっ…!…。あ、自転車…』
ホテルから随分離れて、ようやく気付いた。私、自転車で来てたんだった。
『ここまで来たら…もう戻るには無理だよ…』
もう既に見えなくなっているそこを、振り返る。
『…っ!光原、先輩…っ!』
とめどなく、涙が出てきた。
『なんで…』
「婚約者がいるなら言ってよ」「呼び出したのは桧木さんとの関係を言うため?」「私を振ったのは本当は桧木さんがいたから?」
言いたいことも聞きたいこともどんどん溢れてくる。でも一番は…
『光原先輩のことが好き、だった…!でも、もう…』
諦めないといけないことに気づいたことがなにより悲しかった。
婚約者がいることを知りながら迫る、なんてことはできない。この想いを私は…忘れなければいけない。
Aすみません、用事を思い出したので、そちらへはいけません。待って下さったのにすみません。
これから戻って改めてその報告を受けれるほどの精神は、今の私にはなかった。視界がぼやける中、なんとか送信ボタンを押す。拭いても拭いても零れる涙に、なす術は見つからない。と、その時、
?「Aちゃん…?」
聞き覚えのある声が、私の耳を優しく揺らす。
『律くん…』
その姿に、どうしようもなく安心する自分がいた。
――――――
桧木響子(ひのききょうこ)
Aの住んでいる県で一番大きい病院の院長の一人娘。かなりの美人で、自分のことを紘基の許婚と語っていた。
一人称:私
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みびみやこ(プロフ) - おバカな莉久(サブ)さん» はじめまして。凄く好きだと言って頂けてとても嬉しいです!必ず完結までいきつきますので、お待ち頂けますと嬉しいです。これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2022年2月10日 19時) (レス) id: e70206d298 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな莉久(サブ) - はじめまして!このお話凄く好きです!更新再開(?)おめでとうございます!無理だけはしないでください!これからも更新ゆっくり待ってま〜す! (2022年2月9日 22時) (レス) @page38 id: ddd40ab2e7 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - みびみやこさん» わああっおかえりなさい、待ってましたー!ゆっくりで全然大丈夫なので、無理せず頑張ってください…! (2022年2月8日 1時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 返信が遅くなり申し訳ございません。この度、更新を再開しました。待っているという言葉、すごく励みになります!更新頻度についてはゆっくりではありますが、完遂しますので最後まで見守ってくださると嬉しいです! (2022年2月6日 21時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - 更新停止…寂しい…でも私はいつでも待ってます!って言ったらプレッシャーになっちゃうかな…もし戻ってきたら私も戻ってきます、この作品を忘れません!ってことです。リアルでの生活も、無理しないように頑張ってください…! (2021年12月27日 22時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2021年9月28日 14時