夏祭り2 ページ44
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『あ、ありがとう…』
紀元くんの手に体重をかけて立ち上がる。…なんだか漫画のシチュエーションみたい。
律「僕がこの子を見とくから、連絡しなよ。それインカムだよね」
片手でその子を支え、もう片方の手で私の腕から金魚袋を取りながら私の耳に目を向ける。
律「これでも結構子ども好きなんだ。任せて」
紀元くんはその子へ目線を移し、揺れながら話かけ始めた。
『…落とし物係、落とし物係、見回り係の春野です…。今よろしいですか?』
紀元くんに抱っこされているその子を見て、容姿を伝えていく。
律「この金魚、君が捕まえたの?」
「うん…全部…」
律「やるねぇ」
あ、2人とも笑ってる。紀元くんすごい…!
落とし物係〈迷子情報の登録はないな。こっちに連れてこれそう?〉
『えっと…』
そっと目線を移すと、紀元くんと目が合い笑顔で頷く。
『はい、今から向かいます。…ありがとう、紀元くん!落とし物係はこっち』
律「全然!さぁ、今からママ探しに行こうね」
「うん!」
先ほどの梃子でも動かなかった様子はすっかりなくなり、元気に返事をしたその子を紀元くんが抱えたまま歩き出す。紀元くん頼りになるなぁ。
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『もうママの手、離しちゃだめだよ?』
「うん!お兄ちゃんお姉ちゃん、ありがとう!」
律「夏祭り楽しんでね。ばいばい!」
落とし物係のところへ着くと、ちょうどお母様が来ていた。無事に引き渡し手を振って見送る。私は改めて紀元くんへ向き直る。
『紀元くん本当にありがとう!紀元くんがいなかったら何も動けなかったよ…』
律「気にしないで。どうせ父さんと母さんとしか来てなかったし」
『そうだったの!?ごめん!どこにいらっしゃるの?』
律「ステージ前でご飯食べてるけど…」
『案内して!一言謝らなきゃ!』
せっかくの親子の夏祭りの時間を私で邪魔してしまった。これは謝らなきゃいけない。
律「え!?いいよそんなことしなくて!」
『駄目だよ!こういうのはしっかりしなくちゃ!』
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みびみやこ(プロフ) - チックタックさん» コメントありがとうございます!書きたいことが多すぎて中々発展しなくて申し訳ないのですが、そう言ってくださると嬉しいです!こだわっていきたいと思います!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月23日 18時) (レス) @page42 id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
チックタック - 話の内容がすごく作りこまれている! (2021年9月23日 14時) (レス) @page43 id: b901e895c9 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 面白い!?!?ありがとうございます!少しずつではありますが進めていきます!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月17日 20時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - すごくおもしろいです!無理のない範囲で更新頑張ってください (2021年9月17日 20時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - にら。さん» 返信遅くなり申し訳ございません。好きというコメントありがとうございます!これから定期的に更新していければと思いますので、読んで下さると嬉しいです!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月14日 18時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2020年9月18日 23時