信じていいの。 ページ11
裏切ってない
その言葉がずっと耳に残っている。
裏切ったのにね。
授業中、集中できず、机に突っ伏している。
小笠原の事で頭がいっぱい。
『あっ…。』
そういえば小笠原、さっき何か言いかけてたような気がする。
意見も聞かずに怒鳴ってたもんね 私。
もしかしたら、小笠原の好意で先生とキスした訳ではないのかもしれない。
いや、信じない。
もう昨日の放課後のように楽しい時間は戻らないんだ。
昼休み、私は弁当を作る気力がなく、今日は購買で諦めていた。
『何食べよう。』
そんな他愛のないことを呟いて、結局メロンパンに決めた。
教室で食べるのも周りがうるさくて嫌だから、屋上に行って食べよう。
屋上のドアの前に着くと、立ち入り禁止のマークがあった。
しょうがなくドアの前の階段に座って食べることにした。
ここなら人気もなく面倒せずに食べられる。
そう思ったのに。
ーガチャー
『小笠原…』
そこには屋上のドアから出てきた小笠原が立っていた。
海「ここで何してんの？」
は？見れば分かりませんか？！
無視だ。無視。
……………
海「なんで無視なの。」
裏切り者だからに決まってんでしょ！
馬鹿じゃないの。
海「あのさ。」
急に真剣な声に変わった。
なんなの。
『なに。』
一応聞いてやろう。
海「おれ、裏切ってないから。キスだって俺はFirstkissなのに好きでもない奴にされてさ、本当はお前としたかった。池田先生のこと俺正直苦手だし。」
え……
私とキスしたかったの…？
海「俺、裏切ってない。」
『えっ…！あの…っ！』
海「けど！！！！…」
小笠原の声が響く。
海「けど…。そんなに信じられないなら…。
俺、お前を諦めます。」
え…？
何このモヤモヤっとした気持ち。
これが私の望んでいた結末じゃん。
なのに、どうしてこう、胸が張り裂けそうになるのかな。
海「じゃあね。
本当に辛いとき、いつでも待ってる。」
待ってよ…。ねぇ。
ー信じていいの？ー
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作者名：小夜時雨 | 作成日時：2016年12月31日 0時
