悪霊と過ごす不思議な５日間 (ページ8)

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１日目② ページ8

｢生き返りたいっていう強い感情が必要？｣

Aの病室に来た小さな悪霊はそういった。そうだと続ける。
｢感情によって潜在された能力が強くなっていくのさ。｣

胡散臭すぎるけど他に頼る相手がいないため、悪霊を信じるしかない。
｢生き返りたいし、戻りたいって思ってるのに、まだもっと強く念じなきゃダメなの？｣
｢本当に思ってるか？｣
その問いにAはとまった。

思ってる。うん。思ってるよ。
Aは事故にあってからの記憶を思い出した。
何度も何度も身体の中に入ろうとする私。
何回やってもダメだった。だから次もダメかなって思ってしまって、試さずにいる。

｢受け入れてきてるんじゃねーのか？死ぬこと｣
Aは左右に首を振った。受け入れるはずないけど、心のどこかで無理かもって思ってる自分がいた。

｢負けない強い感情が大切なんだ。無理かもって思ってるうちは絶対に出来ねぇ｣
｢だって、何度やっても……｣
｢決めつけは良くねぇなーお嬢ちゃん｣
盲点をつかれた。この人は何年もこの世にいるのかな……。私の心をズバリと当ててくる。

｢じゃあ、どうすればいいの。｣
｢戻りたいって強く願えばいいんだ。この世に未練はねぇのか？｣
小さな悪霊は考えている様子で彼女に聞いた。
未練……未練……
｢あるよ……私……16年しか生きてないんだよ……。大人にもなってないし高校も卒業してない。なによりお母さんとお父さんとお話がしたい。お母さんが作ったご飯食べたい。暖かくて美味しいやつ……それで次は……｣
ボロボロと悲しい感情が溢れてきた。

｢戻りたいよ。今すぐにでも。これで死ぬなんて嫌……でも、どうすればいいのか分からないの。｣
泣きながら下を向くと病室の床が視界に入る。
Aの足は透けていた。
ポンっと頭に暖かな感触がきた。

｢ちょっと俺様がお手本見せてやるよ。嬢ちゃんはついてきな｣
緑の火の玉は胸を張って言った。右手の親指をたててぐっと握っている。

｢え？｣
｢ほら、いくぞ！｣
火の玉は小さな手でAの袖を引っ張る
Aはわけも分からずついて行った。