悪霊と過ごす不思議な５日間 (ページ12)

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2日目③ ページ12

お母さん？そこは裏路地だよ？
母親は買い物に行かず裏路地に入っていく。
Aは後をついて行った。
母親の動きがピタリと止まった。

｢おかあ……さん？｣
突然母親が笑い出した。
不気味で……怖い……。
｢あ、悪霊ね！！！出てきなさい！！お母さんを返して！！！｣

｢やっと起きたのねA。ずっと待ってたのよ？｣

｢お母さん？｣
母親の後ろからばっと黒い影が出てAに近づいた。
近づいたら危ない。霊力がない私にもわかる。

｢お母さんを返して！｣
ウオオオオオオオオオ！！！！
黒い影が叫んでAに襲いかかってきた。

｢うわああああ！！｣
やられる……！
目をつぶった。

｢…………？｣
数秒立ってもなにも体に変化がない。
Aは瞼をゆっくりと開いた。

｢たくよぉーだから言ったじゃねぇか。嬢ちゃんは三下以下だって｣
目の前には緑の火の玉ではなく緑の人型の霊が立っている。
母親は倒れて眠っている。黒い悪霊の姿はなかった。

｢お母さん！！｣
急いで母親にかけよる。
眠っているだけど分かったAはほっと胸を撫で下ろした。人型になった悪霊にアイコンタクトする。
生きていると分かった緑の人型の悪霊もホッとしていた。

｢よかったな。じゃあ｣
｢なんで、そんなにあなたは助けてくれるの？悪霊なんでしょ｣
めんどくさいと嫌そうにしていたのになんやかんや面倒を見てくれる悪霊さん。

｢……女は利用価値がありそうだからな。｣
そう言って緑の火の玉になって飛んでいってしまった。
助けてくれた広い緑の後ろ姿が、何故か忘れられない。

｢A？｣
母親が目を覚ます。
｢お母さん！｣
｢あれ？私なんでこんな所に寝てるんだろう？｣

起き上がってあたりを見回す母親。
｢Aがいたような……。気のせいか｣
ここにいるよ！！って訴えてもお母さんには届かないだろうと悟ったAは、母親が起きたのを確認して病院に戻った。