HOME兄妹 (ページ1)

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家でページ1

「おはよう」

『おはよう、目玉焼きやいたの？』

「うん、でも、ちょっと焦げちゃった…」

『私、黄身は固まってたほうが好きだから、逆に嬉しいかも』

「そっか、じゃあ、これから少し焦がしてみる？」

『うん』

眠そうに目をこすると、顔洗ってきな、と言われる。
洗面所の電気の光は、寝起きにはとても眩しくて、太陽をずっと、眺めていたみたいだ。
真冬に厳しい、水は目を覚ますのにはちょうどいいが、やはり、手を洗うのには向いてないと思う。

『最近、痩せたんだ』

「それ以上痩せてどうするの」

『新しく買った服を着るの、それで、どこか行こう？』

「映画でも行く？」

ワイワイと盛り上がっていると、時間がやばいことに気づき、２人食卓を囲む。
テレビでは、誰かのことが放送されていて、犯罪だとか、婚約だとか、どうでもいいことしか流してくれない、つまらない放送局。
あの時のニュースなんか、もう、流れたりなんかしない。
飽きたら捨てられる。
それが、この世の中の生き方の定義なのだろう。

「あ、やべ、僕今日日直だから、先行くね」

『うん、行ってらっしゃい』

「戸締まりだけしっかりね、じゃあ行って来ます」

『うん』

手を２、３回ふって、私も残った支度を進める。
朝練は、確かなかったはずだ。
サッカー部の練習はとてもきつい。
そのマネージャーも、なかなかきつくて。
全国大会まで出るほどの、強豪校にまでなった御神(みかみ)高等学校。
その影響か、サッカー部の部員は群を抜いて多くなり、マネージャーの仕事も、年々倍になっていくばかりだった。
今は、テスト週間のため、朝練は無し。
本来なら７時までの部活も、５時で終了。
１年生からしたら、久々の休みに喜びながらも、テストの嫌々で、複雑な感じではあるだろう。

『あ、体育、テストだ』

なぜテスト週間中に体育のテストがあるのか。
テストはまとめてやってしまえばいいのに。
まぁ、体育は苦手でも嫌いでもない。
これでも一応体力に自信はある。
サッカー部の部員達に走ってスポドリを配って鍛えた足に、大量の洗濯物を運ぶのに鍛えたこの腕。
女子の中では運動はできる方のはずだ。

『よし』

ただ、その一言を言うだけで、なんだか気持ちが、冷静になる。
言葉とは、不思議なものだ。