続き ページ6
いきなり泣き出す私にびっくりしていたがまた微笑んで両手を広げていた
「はぁ、おいで」
ため息つくならそんなこと言わないで、なんて思いながらも私はアイツの腕の中にいた
頭をぐりぐりと押し付ければ胸いっぱいに変わらないアイツの優しい匂いが広がる
それにもっと涙が溢れてきて、ぎゅっと抱き締めた
顔は見えないけど、きっと困ってる ぐるぐると不安感やら嫌われたくないって気持ちが募る
そう思って離れようとしたら抑えられて離れられなかった
男らしい大きな暖かい手が頭を撫でる、ポンポンから髪の流れに沿ってゆったりと
子供をあやすかのように撫でられるその手が気持ちよくてぐるぐるした気持ちもなくなって、ずっと抱き着いていた
暖かい、心の内で求めていたそれが心地よかった
「ほんと、昔から泣き虫やなぁ」
うるさいなぁ
そんなお母さんみたいな発言も懐かしく感じた
真っ赤な腫れた目を蒸しタオルで覆う
その間テーブルに並べられるお酒とおつまみ おつまみの全ては私の好みを完璧に理解してた
いそいそとレンジで軽いご飯物を温める彼を見る
その視線に、気づいたかのようにこちらを見た
「治まったか？」
こくりと頷いてぬるくなった蒸しタオルを渡す
それを片付けている姿を見てるとさっきまで子供みたいに泣いていた自分が恥ずかしくなった。少し気まずくて俯くと彼は隣にドカリと座って缶ビールを渡してきた
「まぁ、言わんくてもなんとなく分かるから…とりあえず買ってきたやつ食べようや」
と青いコンビニのチキンを口に入れられる
もぐもぐとしながらも涙はまた流れた
涙腺が劣化してるなんて、馬鹿なこと考えたけど本気で泣き虫だなぁと自覚する
「ありがと」
と小さく呟けば、それは聞こえてたようで彼は少し照れくさそうに頬を掻きながら微笑んだ
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作者名：古木 | 作成日時：2018年4月30日 23時
