続き ページ33
漫画みたいな話は現実ではよっぽどなことが無ければ起きない 私は現実主義者だ
とりあえず憧れ とだけ伝えれば嬉しそうに「そっか。」と言った
『あのさ、ほんと酔ってない？大丈夫？』
「んー？だいじょーぶやで。」
説得力に欠ける呂律だ
そろそろ帰るように促すが動かない
「俺はな、前世信じてるんよ。」
ポツリポツリと語りだすオスマン
「Aが言ったみたいに今の知人が前世で関係があった人だったなんてまず分からんし分かったとしても偶然すぎるな。そんで片方だけでも記憶があったなんて偶然の中の偶然、そうだったらいいなぁって憧れしか普通は持たんよね。でも俺は信じてたんや、その憧れが現実になれば良いのにって。」
「その何万何億分の一の偶然が起きてたら凄いと思わへん？それが仕込まれていたものだとしても運命って感じるやろ？」
オスマンの瞳が緑色に見えた
お酒が入っているからか口調は速くなりこちらが口を出す隙も与えない
踏切の警告音に似た音が頭に響く
これはいけない、危ない WARNINGの文字が頭中を埋める
彼の名前をカラカラの喉で呼べば違和感があった
呼んだって彼は止まらない
「ずっと待ってたんや。多分Aは覚えてへんと思うけど俺らずっと前から親しい仲やったんやで。」
頬に添えられた生暖かい体温が奥底に閉じ込められていた記憶を引き出す スルスルと記憶の箱を縛っていた紐を解く
『ま、マンちゃ、ん。』
開いた箱には恐怖しか埋められていなかった
カチカチと奥歯が鳴り彼の名前を呼ぶ声は恐怖に引き攣っている
「やっと、やっと逢えた。前世よりお慕いしてました。これからはずっと一緒やで。」
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作者名：古木 | 作成日時：2018年4月30日 23時
