【wrwrd!】目を閉じたら【短中編集】 (ページ26)

今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:20,007 hit

【残香を楽しむ】gr ページ26

外から聞こえるドンドンという音
その音が鳴るたび部屋が少し揺れる
そして、そばにいる彼女の肩も揺れ外を眺める

「行きたかったんじゃないのか？」

『ううっ、でも…』

今日は近くで花火が上がっている
ただ花火が上がるだけではなく屋台も出る小さな花火大会近所の人や隣区の方から人が主に来てかなりの盛り上がりをみせる
当然彼女は行きたいと言ったのだが、とある理由で行けず
理由は俺からは言えないが、女性なら誰でもなるものだけ言っておこう
これでは花火を楽しめないと敢え無く今回は行かないことにしたのだ
しょうがないと分かっていても余程楽しみにしていたのか花火の上がる音を聞くたび彼女が羨ましそうに真っ黒な外を眺める

音は聞こえても花火は見えず

『あのね、行きたかったとは思うんだけどさ…』

音が響くだけの部屋でスッと彼女の声が混ざる

『人が多いから花火そんな近くで見れないと思うし、グルちゃんと二人だけで花火見たいなぁって思ったらそこまで今日の花火行きたいと思わなくなったというか…』

エアコンの効いた部屋で1人真っ赤な顔をしながら彼女は言う

『グルちゃん格好いいから、みんな花火なんて見ないでグルちゃん見ちゃいそうで…不安というか…それなら2人で見たいなぁ…って』

えへへと赤くなった顔を隠さずはにかむ様に笑う

ちらりと見せた独占欲にこちらまで顔が赤くなる感じがした

「来年は花火が見えるところに住んで2人だけで見ようや」

『えっ…』

おつまみやお酒を持って2人だけで花火を眺めよう
来年も再来年も、ずっと

今日は残香を2人で楽しむ