【wrwrd!】目を閉じたら【短中編集】 (ページ22)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:20,003 hit

【綿毛みたいな君】osmn ページ22

青空の下
風が吹いてた

「なぁ、何してるの」
『何もしてないよ』

嘘やん、今フェンスに手掛けてたやん

「じゃあ、此処で何してるん」

優等生と言われてる君が立入禁止の屋上来て何してるん？
髪もスカートも風でふわふわ揺らして

『教室居づらくてね、風を感じに来たんだ』
「あんたが居づらいって思うことあるんやな、周りの子たちと仲良さそうやん」

女の子の中にも男の子の中にもいつも君は居て
存在感があって、頼れるリーダーみたいなそんな君

『彼女達が見てるのは私自身じゃないよ、私の立ち位置を見てる』

強者の後ろにいれば守られるそんな感じと彼女は言った

『あ-あ、此処を見られちゃうなんてな- 秘密基地みたいなものだったのに』

「何回も此処来てるん？」

『そうだよ』

ケロリと言ってるがここは立入禁止やで
それをここで言うのは野暮かと思った
みんなの鏡の優等生は立入禁止の文字も見えないらしい

「さっき、フェンスに手掛けとったけど死ぬん？」

あまりにもあっさりした聞き方だっただろうか
もし、これで彼女が死んだら俺はどんな気持ちで学校へ足を運べばいい？

『死ぬ？そんなことはしないよ、まだね』

敢えて最後の言葉は気付かないふりをした

『人はいつか死ぬんだ、それに怯えながら私達は生きてるんだからいつ死ぬか私達で決めさせてくれても良いと思うんだけどね』

ふわりと彼女は笑った

「まだ死ぬなよ」

『まだ死なないよ、死にたいときに私は死ぬさ』

俺は君が死にたいって言っても死なせるつもりはない
だってまだ、俺はお前を掴めていない
勉強も何もかも追い越してもいない、お前はいつも前を進んで手さえ掴めていないんだ

綿毛のような君を掴むまで、どうか