【wrwrd!】目を閉じたら【短中編集】 (ページ11)

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【それは一瞬で儚いものでした】ut ページ11

城下町のとある憩いの場
針葉樹の並木道と涼しげな雰囲気を醸し出す噴水
所々にあるベンチには仲睦まじいカップルやらが座っており、賑わいを見せていました。

友達と噴水の近くのベンチに座っていると、とある人溜まりが見えました。目を凝らして見れば、それは女性に囲まれた男性の姿でした。
その人溜まりを見ていた私に気づいたのか、友達は「あの人ね」と声をかけてきました。
「ここらじゃ有名な人よ、良い意味でも悪い意味でも。」

有名な人？、私はあの人のことを聞いたことありません。他の友人からも彼のことを聞いたことありませんでした。
意味がよく分かっていないと悟ったのか友達は言葉を続けます。

「結構かっこいいって、人気みたいよ。それに聞いたことないのは当たり前、あんなに人気なんだから他の人に話すわけないじゃない。」

かっこいいから人気と言うのは分かりましたが、聞かない･話さないということについてよく分かりません。はてなを浮かべている私に、はぁとため息を付きつつもちゃんと説明してくれました。

「要するに、獲られたくないってことよ。私だけ知っておきたいっていう一種の独占欲みたいなものかしらね。」

あぁ、なるほど
理解しながら人溜まりを見続けていると友達が話しかけてきました。

「なに？あの人のこと気になるの？」

少しにやついた顔でこちらを見る友達は少し楽しそうでした。

『いや、大変そうだなぁって…ご愁傷さまっていうか。そういえば、さっき言ってた悪い意味とは？』

あんたらしいわ、なんて引き顔で言われたんですけど、そんな顔しないで、結構傷つきます。というか、あんたらしいって何が私らしい何でしょうね。