月が綺麗ですね。 S.S ［完結］

・side S ページ11

Aが寝室から出てきた。


翔｢美穂、寝た？｣


｢うん。｣


翔｢そっか。ありがとう。｣


｢ううん。翔くんもお仕事ありがとう｣


俺が感謝を伝えると、決まってこう返ってくる。

俺が稼いでくるのを当たり前と思わず感謝してくれる。

そういう所に惹かれた。


｢なんでそんな所にいるの？風邪ひいちゃうよ？｣


翔｢案外夜風が気持ちいよ。Aもビール持って来な。｣


冷蔵庫から2本ビールを取り出してる。

2本も飲むのかよ笑

でも、授乳期間は我慢してたからな。


Aがサンダルを履いてベランダに出て、俺の隣でもたれかかる。


｢あ、ほんとだちょうどいい風｣


翔｢だろ？｣


風が少しAの髪をさらってうなじが見える。


未だうなじでドキドキするって、俺は中坊か笑


｢昼間の暑さが嘘みたい。｣


翔｢だなぁ、｣


｢あ、はいこれ。｣


翔｢ん、ありがとう。｣


これ俺のだったんだ。

これきっと無意識に出来てるんだろうな。


そういや、二人でゆっくりするの久しぶりだな。


俺もそれなりの地位に着いていて仕事が忙しいし、

美穂を頑張ってパパっ子にするために、休みの日はずっと美穂の相手してるもんなぁ


実は美穂ばっかり構うのは、パパっ子にするため以外にももうひとつ理由がある。


Aの反応が可愛いから。


俺が美穂の相手してる時、Aが拗ねてるのに気づいてた。

本人は抑えられてると思ってるんだろうけど笑

それがまた可愛くて、美穂の相手しちゃうんだよなぁ笑


Aの方を見ると、何か考えている様子。

直感だけど、俺と似たようなことな気がする。


翔｢何考えてんの？｣


｢んー？最近翔くんと2人でゆっくりするの久しぶりだなぁって｣


やっぱり


翔｢俺も同じこと考えてた｣


｢ほんと？ふふ、｣


嬉しそうに笑うAが可愛い。


｢ねぇ、見てお月様、まん丸｣


翔｢ほんとだ｣


俺は気持ちをストレートに伝える方だけど、最近は寝顔を見るか、美穂といるかだったから、伝えてなかったな。


たまにはこういうのもいいかもしれない。


翔｢ねえ、A。｣


｢ん？｣


翔｢月が綺麗ですね。｣


そう伝えると、こっちを向き満面の笑みで言った。


｢あなたと見る月だから。｣


うん。やっぱりたまにはこういうのもいい。



もう少しこの月を眺めていようか。

ずっと月を見ていましょう→←あなたと見る月だから

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