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定時頃。
今日は残業かな。とりあえず、トイレ行ってこよう。
トイレに向かって曲がり角を曲がろうとしたら、聞こえてきた声。
『あんた、櫻井さんのなんなの？』
｢なんなの？ですか、同期ですかね｣
ん？この声は俺の部署の後輩の高峯とAじゃねえか？
『その余裕綽々な態度がムカつくのよ。あんた、櫻井さんの彼女じゃないなら櫻井さんに近づかないでよ』
は？なんでこいつ先輩のAにタメ口聞いてんだ？
ていうか、お前ごときにAとの関わり制限されたくないんですけど。
｢なぜ、彼女以外近づいちゃいけないのでしょうか？｣
『それは……！みんなの櫻井さんだからに決まってるでしょ！？』
お前らの櫻井さんじゃねーよ
｢みんなの櫻井さんですか……櫻井はものではないと思うのですが。さらにひとつ言わせて頂くと、あなたに何を言われようと自分が関わる人を変える気ないので。それでは。｣
｢あ、もうひとつ。外まで声が聞こえているのでもう少し声のボリュームを下げた方がよろしいかと。もしかしたら櫻井さんに聞こえてしまうかも知れませんよ？｣
はい、櫻井さんに聞こえてます笑
言い返すのはAらしいけど、今までもこんなこと言われてきたのか……？
俺と同期ってだけで？
と考え込んでいたら、人とぶつかった。
ドン！
｢うわ！すみません！｣
｢うわ！｣
｢櫻井！？｣
翔｢よお。笑｣
｢なにしてんのこんな所に突っ立って笑 変態だと思われるぞ？笑｣
｢あ、まさかトイレの話聞こえてた？笑｣
翔｢まあ、ちょっと？｣
｢いやあ、櫻井の影響力すごいな笑 同期と関わるなとか無理だろ笑 同期ってだけでとやかく言われるとかまいっちんぐだな笑｣
翔｢なんか、ごめん｣
｢櫻井が謝ることじゃないだろ笑 あっちが勝手に喚いてるだけだし笑｣
翔｢そうなんだけどさ笑 俺と同期なだけでAがなんか言われるのは申し訳ないって言うか｣
｢だから、申し訳ないなんて思う必要ないんだって笑 別に櫻井が無駄に私に引っ付いてくるとか言うわけじゃないし、私がこんなことで傷つくと思う？笑｣
翔｢いや。思わないけどさ笑｣
｢じゃあ、もうひとつ聞くけど櫻井なんか私に危害加えた？｣
危害っつーか、なんつーか……
｢だから、謝ることじゃねーんだよ。はい！もうこの話終わり。まだ作業残ってるんだ。櫻井トイレ行くんだろ？じゃあな｣
逞しいな……
男の俺でもかっこいいと思うわ笑
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作者名：文月 | 作成日時：2020年8月9日 18時
