第二十三話 ページ25
「うさまろ…！こんなところにいたんだな！！」
私たちはみんなを探して回り、うさまろを発見したことを報告して回った。
みんなはうさまろが見つかったことに安堵したのか、走り回った疲れがドッと出てしまったようで座り込んでいる。尊を除いてだけれど。
「見つかってよかったぜ！！」
尊はうさまろを発見したことがよほど嬉しかったのか、喜びに飛び上がっている。
一番懸命にうさまろを探して走り回っていたのは他でもない彼自身であるはずなのに、よくもまあ体力があるものだ。
バカは疲れないっていうあれか。あれなのか。
「まあ、これで一件落着したことですし、とりあえず寮の部屋に行ってみませんか？今日から自分たちが住む部屋ですし」
はぁはぁと調わない呼吸をしながら、結衣ちゃんが神々(仮)に提案する。
するとみんなは口々に賛同し、「今日から楽しみだね〜」なんて声を漏らしながら汗だくの体で立ち上がった。
私も特に異論はない。というかむしろ、疲れすぎたので早く休めるところに行きたい
「それじゃ、行こうか。行こうよ！」
アポロンが芝生を踏みしめて歩き出そうとしたその時。
「まって、オレはまだ行くなんてって言ってない」
ロキが、なんとなく暗い表情で異議を唱えた。
わいわいがやがやとしていた空気が、一瞬で凍ったように静まり返る。
そういえばロキとトールはまだ学園ボイコットしてたんだ…。
め、めんどくせえええええええ！
アポロンやバルドルが「行こうよー」といいながらロキの腕を引っ張ろうとするが、彼はそれを華麗に避けてトールの横まで走っていく。
そしてトールの肩に手をおいて、ニカッっと笑った。
「ね、トール。こんなめんどくさいことやりたくないヨネ☆」
ロキがトールに同意を求めるように発言する。
しかし、トールはそれに同意しなかった。
「・・・いや。確かに面倒だとは思うが・・・。俺は、やってもいいかと思った」
「え・・・。ナニ言ってんの、トール」
ぽかんと口を開けているロキを無視し、トールは肩に乗っている彼の手を払いのけた。
そしてバルドルのあとに続く。
「一年間何もしないでいる方が暇だろう。どうせなら、やってみるのもいいんじゃないのか」
一度後ろを振り返りロキにそう告げ、トールはほかの神々と共に寮の方へいってしまった。
「トール・・・」
ただひとり取り残されたロキをなんだか放っておけなくて、私はしばらくそこを動けないでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆ - 面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年6月30日 0時) (
レス) id: 139ce4a76e (このIDを非表示/違反報告)
イスフィーユ - 早く続きが見たいです。更新頑張って下さい！ (2014年7月29日 2時) (レス) id: 7ae3fa9c4c (このIDを非表示/違反報告)
みら(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！がんばりますねー！ (2014年7月17日 16時) (レス) id: c6cac86b84 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2014年7月14日 23時) (レス) id: c42e404346 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきちゃん(プロフ) - 面白〜〜〜い、ロキちゃん可愛い(前から可愛いなと思っていたから、ちゃんずけしています) (2014年6月16日 23時) (レス) id: 13c6deeea9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
