【神々の悪戯】神様なんて嫌いだもん！

第十六話 ページ18

理解が追いつかずに無言で突っ立っていると、バルドルに声をかけられる。

「それがね・・・戸塚さんの式神が、行方不明らしいんだよ」

そう呟く声は重苦しく、なんだか辛そうだ。
バルドルは他の神に比べると、優しそうな雰囲気を感じさせる人だし、例えなんであれと行方不明になったりしたら悲しいのだろう。

にしても・・・。

「月人さんの式神ってそもそもなんですか」

このコスプレ大会にはそんな細かい中二病設定までついてるのか。
式神ってなんだ？なんなんだ？

するとアポロンが説明してくれた。

「タケタケが連れてたあのうさぎ！うさぎだよ！うさまろって言うらしいんだけど・・・」

そう言いながらアポロンは、身振り手振りで説明しようと頑張っている。
手で大きさを示したり、色は何色だなどと細かく説明してくれていた。

というか、うさまろっていう名前ついさっき聞いた気がする。
そういえば尊が来た時にいたあのうさぎのことかな・・・？

アポロンの細かい説明と、先ほど尊がさがしていたうさぎの状態は一致している。
とりあえずアポロンが言いたい「うさまろ」という式神は、さっき尊と一緒にいたあのうさぎだと解釈しても良さそうだ。

「そのうさまろっていう式神なら、尊さんと一緒にいたはずでは・・・？」

私がそうつぶやくと、アポロンが悲しそうに目を伏せる。

「そうなんだ。そうなんだよ・・・。だけど「おにごっこ」っていうのをやっているうちにいなくなってしまったみたいなんだ・・・」

アポロンはそう言いながら、寂しそうにしていた。
ただでさえ太陽神(仮)なんだし、やっぱ暗いことは苦手なんだろうか。

「にしても鬼ごっこをしてるうちに・・・ねえ・・・」

こんなことになるんなら、最初から鬼ごっこなんかしなければよかったんじゃないのか。
私が鬼ごっこを提案したせいで・・・。ん？私が提案したせい？

「私が？私、私！？」

その時私は思い出してしまった。
そういえば私は、超不幸体質の失敗魔王だったじゃないか。
ここ数時間非現実的なことばかり起こっていたせいか、すっかり忘れていた・・・。
くそう・・・なんでこんな非現実的なのにその設定だけはリアルに残ってんだよ・・・。

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