第十五話 ページ17
いつまでも木から降りるのをためらう私を見て、トールは理解したように微笑んだ。
「ロキを待っていたいのは分かるが、とりあえず今は降りないか？」
そう言いながら右手を差し伸べてくる。
大きくて男らしい手だ。
「そうですね…」
私はおずおずとその手をとり、トールと一緒に気から飛び降りることを決意した。
確かに鬼ごっこを続けたいというのはあるが、それより緊急事態だと言うならそっちを優先すべきだろうし。
するとトールは、握り返された手を見て少しいたずらっぽく微笑んだ。
「いくぞ、稲野」
「…はい！」
私たちはそのまま木から飛び降りた。
ドカッ
無事着地して、握っていた手を解く。
まだ少し左手には温もりが残っており、なんだかぽかぽかとしている。
思えば家族以外の異性と手を繋いだのなんて一体いつぶりだか分からない。
そして枝の間をぬって飛び降りたことが原因か、髪にも服にも葉っぱが大量にくっついていて気持ち悪い。
トールも同様の自体に直面したのか、嫌そうな顔をして葉っぱを手で払っていた。
体の葉っぱを払いながらふと顔を上げると、前方に先ほど私たちを探していた2人の背中が見えた。
みんなの名前を叫びながらそわそわしている様子である。
なお、名前を呼んでいるのはトールだけではなく、他全員の名前を叫んでいるようだ。
「どうしたんでしょう？」
私がトールに問いかけながらそちらを見れば、彼も同じように頭上に？マークを浮かべていた。
「さあ、分からない。とりあえず行って見るか」
トールはそう言って歩き出す。もう葉っぱは完全に払い切ったようだ。
私はそんなトールの背中にぴったりとくっついて、後を追った。
＊
「おい、どうしたんだバルドル」
トールが後ろから声をかけると、バルドルとアポロンは驚いたのか「うわああ！？」と同時に声を上げる。
ついでにバルドルの方は転んでいた。
「と、突然話しかけないでよトール…」
立ち上がりながらぼそりと呟くように言うバルドル。
「お前たちが、俺たちを探しているような様子だったから声をかけただけだ」
するとアポロンが嬉しそうに返してきた。
「2人にも手伝って欲しいんだ！」
？
何を手伝うんだろう。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆ - 面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年6月30日 0時) (
レス) id: 139ce4a76e (このIDを非表示/違反報告)
イスフィーユ - 早く続きが見たいです。更新頑張って下さい！ (2014年7月29日 2時) (レス) id: 7ae3fa9c4c (このIDを非表示/違反報告)
みら(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！がんばりますねー！ (2014年7月17日 16時) (レス) id: c6cac86b84 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2014年7月14日 23時) (レス) id: c42e404346 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきちゃん(プロフ) - 面白〜〜〜い、ロキちゃん可愛い(前から可愛いなと思っていたから、ちゃんずけしています) (2014年6月16日 23時) (レス) id: 13c6deeea9 (このIDを非表示/違反報告)
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