3 神楽小夜 ページ6
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「っ...いろいろあってな。」
まずい...Weiβのミッションでヨコハマに来たことなんて言えねえ...。
とにかく俺は、ハルに嘘をつくことにした。
幼馴染みに嘘をつくなんて初めてだ。
あまりそんなことをしないように控えてたが...。
「不良共との喧嘩に目をつけられてな...。
も、勿論校則なんて破ってねえからな!」
...後半の嘘が下手くそだ。
中学によく制服を整えないで来たり、
髪を金髪に染めたりと、
バリバリ不良みてえな雰囲気を醸し出していた。
両親が亡くなって以来、
そのようなことは絶対にしないようにしてきた。
...7割は。
「ふぅーん。」
ハルは疑っているような目をした。
何を疑っているのかはわからない。
嘘が下手というわけではないが、
突然幼馴染みに会ったから動揺したというか...。
「やっぱユウトって変。」
でたァァァァァ!!
その台詞は何度も聞く。
俺が嘘をつくのが下手だからなのか?
本当にそうなのか!?
「と、とにかくな!
俺は...その、さっき聞いてただろ。
俺には都合があるんだ。ほっといでくれ。」
...あまりハルに関わりすぎると、
ハルもミッションに巻き込まれてしまう。
俺はハルに背中を向けてまた日向ぼっこをした。
「...ユウト。」
「ほっとけっつってるだろ!」
それに、俺は人殺しだ。
大きな罪を背負った罪人だ。
アヤがいう『Weiβになったときから十字架を背負っている』とは、こういう事だろう。
血濡れた手を見るのは怖い。
でもそれは使命なのだと。
俺は...誰かを巻き込むなんて出来ない...。
「...そっか。ごめんね。」
...えっ?
俺は慌てて振り替えると、
ハルが悲しそうな表情をしていた。
「ユウト、両親がいないんだもんね。」
「あ、いや、俺もごめん。
怒鳴るようなこと言ってしまって。
その、今度、花屋に来いよ!」
「えっ?」
ハルは花が好きだろうか?
そんなことは知らないが、
きっと喜んでくれる。
俺が働いている花屋『子猫の住む家』に来るように誘った。
ハルはぱっと笑顔になった。
「じゃあ明日の休日来るね!」
「ああ。構わず来い。」
そう言って、俺はハルに手を引っ張られ、
教室に戻った。
こんな時間が続ければいいのに、
夜はその思いを断ち切ってしまう。
俺がつけてる仮面が月光に照らされ、
アヤと俺は二人だけでポートマフィアのアジトに向かっていた。
「行くぞ。」
「ああ。全部ぶっ壊す。」
仮面は月光により銀色に輝き、
その輝きは怪しさを増していた。
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作者名:神楽小夜・コハル | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月14日 12時