39 神楽小夜「デズド終わ"っ"だー"」 ページ42
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「島崎ユウト、お前にはまだチャンスがある。」
「...は?」
「一人で脱出してZクラスに入るか、クズの塊と共に爆死して土に埋もれるか、選択肢はお前次第だ。」
「...。」
さっきまでの記憶は忘れていない。それに、異能力はまだ使える。どうやら洗脳は異能力を埋め込むこととは別らしい。俺はハルの異能力をさっき使ってた。誰にも気づかれないように、そっと。もうこの事は既に計算済みだ。洗脳が解かれることも、時限爆弾の爆発も。
それに、まだ使命は終わってない。俺は白き狩人だ。それくらいわかってる。だから、黒き獣を狩らずに終わるわけにはいかない。
「...へへっ、そんなの選ばねえよ。」
「何?」
「何故なら、死ぬのは"俺だけ"だからな!」
「ユウ...ト!?」
誰もが耳を疑った。当たり前だ、俺が死ぬんだからな。これからどうすればいいかも予知済みだ。
...さあ、単独ミッション開始だ。
___異能力【汚れちまった悲しみに】
「っ!!」
「うわっ!!」
俺は出口をこじ開けるように開け、ハル達を全員出口の外に突き飛ばした。そしてハルが起き上がった時には出口は完全に閉まってしまった。今ここにいるのは、俺とアイツだけだ。
「...死ぬぞ。」
「ああ、死ぬからな。お前の後になあっ!」
俺は素早く駆け出し、男の腹部に短刀を突き刺す。血が溢れるように零れる。痛いだろうな...ま、当然だがな。
「ぐあっ!お、お前は、忘れたのか!!」
「ああ、綺麗さっぱり忘れたな。」
...そういや1分半たったな。残り30秒しかない。
その時ふと過去の事を思い出した。
《否、変を通り越して馬鹿なんじゃないの?もう少しだったのに、庇って怪我するとか…》
《...っ俺は》
《私を傷つける位なら死んでも良い、って?甘いんだよ、考えが。そんな覚悟でよくWeiβに入ろう、なんて思ったよね、笑っちゃう。》
ハル、それは違うんだ。お前は知らないだろうが、Weiβというのはそういうものなんだ。辛く重い十字架を背負っているんだ。
「...だから、せめてここで罪を償うとするか。」
嗚呼、神様、俺はもう死ぬのです。罪を償い、この世を去るのです...。
...出口の外で扉を叩くハルの姿が見える。俺はお前を傷つけようとしたんだ、償わせてくれ。
ごうごうと燃える炎の中、俺は最後の日向ぼっこをし、その後俺は安らかな眠りについた。
そして2分がたった。
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作者名:神楽小夜・コハル | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月14日 12時