36 神楽小夜 ページ39
・
...退けよ...。
...消えちまえよ....。
...何で邪魔するんだよ.....。
母さん...俺、母さんのために頑張ってるよ...。
俺、気づいたんだ。
今までしていたことは全部間違ってるんだって。
Weiβに入った意味なんてなかった。
ただ人の欲望を邪魔していただけだったんだよ。
嗚呼...何だか正義とかなんだか言ってる自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。もうルールとか法とか、そんなもの捨てよう。
母さん見ていて...これが俺達が望んだものだからね。
《ユウトよく頑張ったわ。ママも嬉しいわ。》
「母さん...俺頑張るよ...。こんな間違った世界...全部壊してみせるよ!」
「ユウトー!!」
突然後ろから知っている女の声が聞こえた。
今度は一体誰だ...邪魔しないでくれ。
振りかえると、池田ハルがいた。ハル...何でこんなところに来たんだ。
「うっ...何よここ...血...?」
...は?血?何を言って...っ!!?
「うわああああぁぁ!!!!」
気がつくと、俺は血の海の真ん中に立っていた。その周りには、人の死体が浮いていた。目が潰れていたり、腕が切れていたり、背中が刃物で刺されていたりと、老若男女とわず様々な死体が浮いていた。
顔を上げると、目の前に母さんがいた。母さんは優しく手を差し伸べる。俺はそれに引かれるように近づいた。
「ユウト!行かないで!!」
「っ...五月蝿いんだよ!!」
俺が叫ぶと、血の海が大きな波を作り、池田ハルを飲み込んでしまう。
「いやぁぁっ!ユウト!ユウトぉぉ!!」
助けを呼ぶように俺の名前を何度も呼ぶ。お前なんてどうでもいいよ。邪魔なんだ。お前なんて大っ嫌いだ。お前なんて...。
「ユウト、自分で約束したでしょ。
何があっても私を守るって。」
...頭の中でハルの声が聞こえた。後ろを振り返ると、波に飲まれたはずのハルがいた。
「ユウト!知らない子についてかないで!」
反対側、後ろで母さんが子供に叱るように言う。俺は母さんのところに歩いた。
「ユウト、変なの。忘れるなんて酷いよ!」
後ろでまたハルが声をかける。いつもの口癖まで言ってきた。
「ユウト!戻ってきなさい!ママの言う事が聞けないの!?」
「ユウト!帰ろうよ!一緒に!私を守るんでしょ!?」
両側から母さんとハルの声が責め立てる。決断を責められてしまった。俺は何をすればいい?どっちに行けばいい!?
俺は...俺は...っ!!!
・
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神楽小夜・コハル | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月14日 12時