検索窓
今日:20 hit、昨日:0 hit、合計:3,686 hit

36 神楽小夜 ページ39





...退けよ...。


...消えちまえよ....。



...何で邪魔するんだよ.....。


母さん...俺、母さんのために頑張ってるよ...。
俺、気づいたんだ。
今までしていたことは全部間違ってるんだって。
Weiβに入った意味なんてなかった。
ただ人の欲望を邪魔していただけだったんだよ。


嗚呼...何だか正義とかなんだか言ってる自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。もうルールとか法とか、そんなもの捨てよう。
母さん見ていて...これが俺達が望んだものだからね。

《ユウトよく頑張ったわ。ママも嬉しいわ。》
「母さん...俺頑張るよ...。こんな間違った世界...全部壊してみせるよ!」



「ユウトー!!」

突然後ろから知っている女の声が聞こえた。
今度は一体誰だ...邪魔しないでくれ。
振りかえると、池田ハルがいた。ハル...何でこんなところに来たんだ。

「うっ...何よここ...血...?」

...は?血?何を言って...っ!!?


「うわああああぁぁ!!!!」

気がつくと、俺は血の海の真ん中に立っていた。その周りには、人の死体が浮いていた。目が潰れていたり、腕が切れていたり、背中が刃物で刺されていたりと、老若男女とわず様々な死体が浮いていた。
顔を上げると、目の前に母さんがいた。母さんは優しく手を差し伸べる。俺はそれに引かれるように近づいた。

「ユウト!行かないで!!」
「っ...五月蝿いんだよ!!」

俺が叫ぶと、血の海が大きな波を作り、池田ハルを飲み込んでしまう。

「いやぁぁっ!ユウト!ユウトぉぉ!!」

助けを呼ぶように俺の名前を何度も呼ぶ。お前なんてどうでもいいよ。邪魔なんだ。お前なんて大っ嫌いだ。お前なんて...。



「ユウト、自分で約束したでしょ。
何があっても私を守るって。」

...頭の中でハルの声が聞こえた。後ろを振り返ると、波に飲まれたはずのハルがいた。

「ユウト!知らない子についてかないで!」

反対側、後ろで母さんが子供に叱るように言う。俺は母さんのところに歩いた。

「ユウト、変なの。忘れるなんて酷いよ!」

後ろでまたハルが声をかける。いつもの口癖まで言ってきた。

「ユウト!戻ってきなさい!ママの言う事が聞けないの!?」
「ユウト!帰ろうよ!一緒に!私を守るんでしょ!?」

両側から母さんとハルの声が責め立てる。決断を責められてしまった。俺は何をすればいい?どっちに行けばいい!?

俺は...俺は...っ!!!


37 神楽小夜→←35 神楽小夜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神楽小夜・コハル | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月14日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。