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揺れる花。 ページ6
「紅葉先生」
お慕いしております。そんな彼女の笑みが、紅葉は数年経った今でも忘れられないままでいる。
一週間ほど前、部下の一人が死んだ。
まだ18才にも満たない少女であった。
拾った頃は絶望しかなかったその瞳は今や怖いほどに澄み、瞳の色もあり、青空のように。けれども表情は変わらぬまま。
そんな彼女は、数年前、紅葉の前でそう言って、笑った。
何かを押し込めたような、そんな笑顔。
何故彼女は笑ったのだろう。しかも血の海の中で。それらは全部彼女が葬った者達。彼女の異能がやったのだ。
なのに笑った。
数日前彼女からもらったナナカマドが、窓際で風に揺られている。
「秋声……」
久しぶりに呼んだ部下の名前は、ひどく重たく感じた。
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作者名:彩織 | 作成日時:2018年1月17日 17時