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私は再び席に着くと、鞄からスマートフォンを取り出した。暗証番号を入力し、ホーム画面を開く。
そのままアプリケーションを起動させようとした途端、唐突にスマートフォンは奪われた。
「ヘイA! 何やってるんだい?」
「…アルフレッド。返して」
へらりと笑うアルフレッド。
彼は私の幼馴染だ。何かと幼少から仲が良く、高校生になってもそれは変わらない。けれど最近のアルフレッドは目に余る。自由すぎるのだ。だからいつも振り回される。…けれど、そんな彼を嫌う事は私にはできなかった。
「お、これ昨日リリースしたやつじゃないか! A、やっても良いかい? 一昨日からアーサーにゲームをやりすぎだからってスマホとられてるんだよ! 酷いと思わないかい!?」
アルフレッドの言葉はまるで弾丸のように矢継ぎ早に飛び出す。元凶はやっぱりアーサーさんか、とため息をついた。
「良いけど、すぐ返してね。今日はイヴァンと遊びに行くんだから」
「イヴァン!? 嘘だろ、キミあんなやつと遊ぶのかい!?」
信じられない、とオーバーリアクションするアルフレッド。それにム、と私は口を尖らせた。
「そんな事ないよ。イヴァンは凄く親切なんだから。慣れれば絶対そう思うはずだよ」
「OMG…Aは将来大物になれそうだね! ハリウッドにでも出れるんじゃないかい?」
「流石にそれは無理でしょ」
苦笑。それと同時に、アルフレッドは「うわっ!」と叫ぶ。何事かとスマートフォンの画面を覗けば、ゲームオーバー画面が表示されていた。
「あーあ、負けたんだぞー…」
「残念だね。さ、ちょーだいスマホ」
「勿論さ、約束は約束だからね!」
ひょい、と渡されたスマートフォン。
アプリを終了させると鞄にスマホを突っ込みそのまま鞄を背負う。
じゃあね、と告げるとアルフレッドは笑顔で「また明日やらせてくれよ!」と返した。
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作者名:木星人 | 作成日時:2017年6月25日 13時