◇丗壱 ページ40
*
『和泉守ー、ちょっと机を拭いておいてくれる？』
兼「おう、そんなことでいいなら任せとけ！」
『岩融、出来上がったお料理運んでくれるかしら？』
岩「おう！」
夕餉ができあがって、みんなにお手伝いをしてもらうことに。
第4部隊まで揃っているので、全員分用意するのは容易ではない。
『みんな揃ってる？あれ、鶴丸はどこへ行ったの？』
三「先ほど裏庭で見かけたが」
陸「また穴でも掘っちゅうんやいか？」
安「でも穴掘る道具はさすがに持ってきてないんじゃない？」
いつも何かしらをしでかす鶴丸は、目を離した隙にどこかへ消える。一瞬の出来事である。
『全く…探してくるからちょっと待ってて』
陸「おんしもまっこと大変やのぅ」
陸奥守が苦笑いしながらそう呟いた。
私は草履を履いて勝手口から裏庭に出た。
『鶴丸、いるの？』
鶴「……ん、あぁ。君か」
池のほとりに佇んでいる鶴丸がいた。
なぜか儚くて、消えてしまいそうな、そんな雰囲気だった。
『……………………』
鶴「俺だって、怖いこともあるさ」
『……怖い？』
鶴「いつかこの日々が終わるかもしれない、なんて思うと怖い」
口元に悲しそうな笑みを浮かべ、鶴丸は私を振り返った。
おちゃらけていて、悪戯好きないつもの彼とは違う、初めて彼を見た時に感じた儚さ、雪のように繊細そうな心。
今の鶴丸はそれが感じられた。
『何でまた急にそんなことを…？』
鶴「君が人間だからさ。人間はいつか滅びる。1000年と生きてきた俺たちにとって、人間の一生は一瞬なんだぜ。…なぜ君は人間なんだ？なぜ君は死.ぬ？」
『私たち人間の宿命よ。変えることのできない宿命。確かに、人間は自然に朽ちるわ。でも、あなた達もそれは一緒でしょう？手入れをしなければ自然に朽ちる。結局、この世に朽ちないものなんて無いのよ。その短い一生の間に、朽ち果てるまでの短い間に、一生懸命生きるの。まるで花のようにね。美しいと思わない？』
鶴「………花のように、か」
『私は美しいものが好きよ。人間でいることも、死.んでいくことも美しいと思ってるわ。私とあなた達は、朽ち果てるまでの短い間を共に過ごしているの。悠久の刻のほんの一瞬を共有しているだけでも奇跡だと思うわ。』
鶴「…はは、こりゃ驚いた」
どこにも行かないでくれ、そう細く呟いた鶴丸の声は、微かに震えていた。
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プスメラウィッチ(プロフ) - 初めまして、続きの更新頑張って下さい。応援してます。 (5月5日 23時) (
レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
あう - 1､本科と写しどれも個別の刀で追いめを感じる様な者ではないから｡実際に国広は誇りを持っている｡2､剣士と言うだけで刀の事はあまり知らなかった｡3､日輪刀は十人十色の刀だから ※勝手な妄想です｡気にしないでくれるとありがたいです (11月21日 23時) (レス) @page6 id: 64c26850b0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - 本当に面白いです！続きがめっちゃ気になります！頑張ってください！ (10月28日 9時) (レス) @page38 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
榮薇(プロフ) - たまごがゆさん» 夢主ちゃんは、山姥切の言動に、自分が写しであることに負い目を感じていることを察して、わざと知らないふりをしている、という設定です！ご指摘ありがとうございます😊ありがとうございます😳これからもご愛読いただければ幸いです❤️ (2022年8月29日 9時) (レス) @page8 id: c8e9ae4c59 (このIDを非表示/違反報告)
たまごがゆ - 素敵な話で読み込んでしまいました！ ところで質問なんですが、◇参 の羽衣石が写しや本科を知らないのは何故ですか？刀を持つ鬼殺隊士が知らないとは思えず… 更新頑張ってください！応援してます！ (2022年8月26日 22時) (レス) @page8 id: 8c08499bcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：榮薇 | 作成日時：2022年8月1日 21時
