月ノ姫＿LIP×LIP＿【染谷勇次郎】 (ページ8)

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月ノ姫＿8 ページ8

＿なんで。

＿どうして？

＿さっきまでいつも通りだったのに。

＿お別れしないといけないの…？

この日が来ないと思っていた訳では無い。

彼が私のために外の世界の話をしてくれていたとしても、彼は招かれざる客。

私は外を知ることを許されないこの月の姫。

いつまでも楽しく2人で話しているわけにもいかないことは分かっていた。

でも。

それでも…！

(私は…彼と居たいんだ)

今更だった。

今更、彼の話す外の世界を知るためだけじゃなく、彼と過ごす時間が大切なものになっていたことに気がつく。

『…嫌だ、離れたくない…っ、』

ボロボロと涙が溢れた。

彼と出会った時も私は泣いていた。

あの時と同じように窮屈で広い庭に座り込む。

あの時と違うのは、私の涙を拭う彼の笑顔が寂しそうな事。

行かないでと彼の服を小さく掴む。

彼はそんな私の手を取る。

「いつか必ず会いに来るよ」

真っ直ぐ私の目を見つめて彼が言った。

＿いつか。いつか必ず、と。