ニコイチ恋愛。

#46 ページ46

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「ほんまにありがとうな。最高の誕生日やわ」


『そんな大袈裟だよ』


「大袈裟ちゃうわ。一番欲しいもんもらえたから」


『え、そんなに腕時計欲しかったの？(笑)』





そう言って笑うと、シゲはアホか、と笑みをこぼす。






「A」



『え？』



「俺が、一番欲しかったんは」






自分で言ったくせに、顔を赤くして口元を手で覆うから、





「ちょ、なんか言えや、」


『いや、だって、』




私まで恥ずかしくなって仕方ない。


心臓を打つ音が体の中に鳴り響いて、シゲにも聞こえてしまいそう。






『ふ、』


「ははっ」





お互いに顔を見合わせて、同時に吹き出した私たち。





「ゆでダコみたいな顔してんで」


『シゲもね』


「俺はりんご！」


『いや可愛くないから』





気持ちが通じ合っても、くだらないことを何でも言える関係のまま。





今まではずっと、怖かった。


シゲに気持ちを伝えたら、きっといつもみたいに話せなくなると思ってたから。


私のことなんか、恋愛対象じゃないと思ってたし。






『私、シゲは雅ちゃんが好きなんだと思ってた』


「はぁ！？」




唐突にそう言うと、シゲは大きく目を見開いて、




「俺かて、お前が濱ちゃんと付き合ってまうんやないかって、ヒヤヒヤしてたわ！」




すぐに笑窪を作って、ニヒッと笑った。





『肝試しの時は…肝が冷えたよね』


「ぶっは、お前それ掛けたんか！？ボケたんか！？おもんな！！」


『うっさいな！』


「まぁ、あん時はほんまに終わったと思ったで？」





肝試しの途中、濱田先輩に告白された時。


シゲに誤解されたかなって、かなり焦った。




でも、それを言うなら、




『シゲこそ、私より雅ちゃんがいいって、私はいい友達だって、言ってたじゃん…』




改めて口に出すと、もう解決したことなのに虚しさがこみ上げてきて、言い終わる前に声が小さくなってしまう。





「それ、いつ聞いたん？」


『ご飯の前。誰かと話してたの聞いちゃって』


「あぁー…あれか、」




思い出したように斜め上に目線をやり、胡坐をかいた膝に肘をついて額に手を当てた。





「え、じゃあ最後まで聞いてないん！？」


『最後…？』


「あぁそうか…だからかぁ〜」




何かに納得したのか嘆いているのか、

ムンクの叫びみたいに頬を両手で挟んで下に引っ張るから、不細工な顔がお目見えした。





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