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#26 ページ26

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『ほんとにどうしよう…』




サークルの練習の合間、泣きそうになりながら柚子に助けを求めた。





「あらら〜なんかえらいことになってるじゃん」


『笑いごとじゃないぃぃ』





もういっそのこと現実逃避でもしたい。






「今のAが好きなのはどっち?」


『え、』




今の私が好きなのは、もちろん







『……シゲ』



「じゃあいいじゃん。何を悩んでるの?」


『だってさ、!』






「やっほー」




濱田先輩が、と続けようとした瞬間、知ってるやつの声が聞こえて飲み込んだ。





「お、流星。暇なの?」


「おん。あ、ごめんなんか話してた?」




流星が柚子への恋心を抱いていることを知ってから、見てるこっちが謎にドキドキしてくる。



いいなぁ柚子は。好きになってもらえる相手がいて。






「そう、Aがね!」




流星の肩越しに、私たちを見つけてニコニコ近づいてくるあいつが目に入ったから、




『あ、ちょ、ダメだって!』




制止しようとした。







「濱ちゃん先輩に告白?されたかは微妙だけど脈アリらしい!」





そんなささやかな努力も虚しく、





「え、そうなん?あ…シゲ、」




流星の隣に来たシゲは、状況が飲み込めていないような、そんな顔。






「…え、Aそれほんま!?よかったやん!」





でもすぐにまた、パッと笑顔になった。




柚子と流星は、何とも言えないような苦い表情で私を見る。






…よかったって、何がよ。



何も知らないくせに。






「あ、でも他に好きなヤツおるんやろ?それ濱ちゃんやないもんなー難しいなぁ?」





その台詞を聞いて顔を見合わせたゆずりゅせ。


きっと二人の間で意思疎通してるんだろう。




『…うん、そうだね…』




事を難しくさせてるその張本人はお前だと、言ってやりたい。





軽くため息をつくと、







「重岡さーん!」




そんな可愛らしい声が聞こえた。





「一緒に練習しませんか?」




そのくりくりの目が、シゲを見上げている。




雅ちゃんは、あまりにも強敵すぎる。



可愛くて人懐っこくて、こんな子に上目遣いで見つめられたら、誰だって好きになってしまうんじゃないかと思うほど。





「おう、ええよ〜、じゃあな」



シゲは雅ちゃんに連れられて歩き出しながら、顔だけこっちに向けて手を振った。






「…A、雅ちゃんはアカンな」




そう言う流星の低い声が、やけに耳に残った。



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きしぽん(プロフ) - ななのんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!^^ 頑張りますー! (2016年9月26日 0時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
きしぽん(プロフ) - 永瀬のあ。さん» コメントありがとうございます!他の作品も見ていただけるなんて!嬉しいです^^ お気遣いありがとうございます頑張ります! (2016年9月26日 0時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
恋歌(プロフ) - きしぽんさん» なんかしげでもきゅんきゅんするし好きな人のこと考えるだけで胸が苦しくて仕方がない感じがしますけど笑 (2016年9月25日 18時) (レス) id: d377b51452 (このIDを非表示/違反報告)
ななのん(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしながら読んでました!こういうストーリー好きです!続きが気になって仕方ないです!頑張って下さい!待ってます! (2016年9月25日 17時) (レス) id: ca276f073a (このIDを非表示/違反報告)
永瀬のあ。(プロフ) - コメント失礼します。初めてきしぽんさんの小説を見させていただきました。なんかお互いに恋を意識してる辺り、可愛いな、なんて思っちゃいました(笑)この機会に他の小説も拝見させていただきます!!お身体に気をつけて更新してくださいね。長文失礼しました!! (2016年9月25日 0時) (携帯から) (レス) id: 389b183b69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もも | 作成日時:2016年9月24日 23時

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