その執事、冷徹。Another Story

another #3 ページ9

.








「で、最近どうなん？」





仕事の休憩で、小瀧くんとランチ。


お店に入って席に通されるなり小瀧くんの開口一番がそれだった。





『どうって、円満な家庭を築いてますけど？』


「うわーー！ええなぁ！ラブラブ！」





ラブラブ…？かどうかは分からないけど、



これといった問題もないし、夫婦仲は良好だと思う。






「不満とかないん？」




不満かぁ、


嫌なことはさしてないけど、






『まぁ、強いて言うなら、私より早起きなとこかな…』



「え〜なんで？」



『…朝起きたらひとりなの、寂しいから』



「あーーーーかわいい！！俺が一緒に寝たるよ！」






人目も気にせず大声を出す小瀧くんのせいで、周りのお客さんにチラチラ見られてしまった。





『ちょっと、静かにして！』


「うぃっす……あっ、」





しょぼんとしたかと思えば、遠くを見て何かに気づいた様子の小瀧くん。





「なぁ、あれ淳太やない？」


『え？』




その言葉と共に小瀧くんの視線の先を見ると、







『…あ、淳太く、』






スーツ姿の淳太くんと、





その隣にもう一人、綺麗な女の人。







「あれ、あの女の人さぁ、」


『小瀧くん知ってるの？』





小瀧くんは視線を二人に向けたまま続けた。





「うちの会社の人やで。どっかの部長やったと思うわ。美人やから覚えてた」



『へぇ…そうなんだ』





サラサラの黒髪ロングで、確かに仕事できそうな雰囲気で、



淳太くんの隣にいても、引けを取らないくらいすごく美人な人だった。






「うちの会社、淳太のとことも取引してんねやろ？たぶんそれやない？」



『うん…そうだね、』






分かってる、分かってるんだけど、






私以外の女の人に笑顔を向けてるのを目の当たりにしちゃうと、





嫉妬心が生まれざるを得ない、っていうか。







淳太くん、かっこいいから、




いくら結婚してるとはいえ、ちょっと心配になる。





.

another #4→←another #2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す