another #R.F ページ6
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待ち合わせの時間まで、あと5分。
大きなビルのロビーで、
腕時計の秒針を、ただじっと眺める。
緊張なのか、怒りなのか、よくわからない感情を抱きながら。
「___________お待たせしました」
その声にふと顔を上げると、
俺の大嫌いな奴の姿。
『…よぉ、久々やな』
こいつがAの前から姿を消して、3ヶ月。
やっと、たどり着いた。
執事の時とは違うスーツを身にまとって、いつかの死んだような目で、俺を見る中間。
「わざわざこんなところまで、すみません」
街にある看板や文字、すれ違う人たちが話す言葉も、すべてが中国語。
中間が台湾におるって分かったから、ここまで来た。
こいつが日本にいようがいまいが関係ない。
Aのあんな風に泣く姿見たら、どうにかしないと気が済まん。
『なぁ、お前どうするつもりなん』
「このまま台湾で、祖父の会社を手伝おうと思ってます」
…ふざけんな。
Aのこと苦しめて、なんでそんなに平然としていられんねん。
『もうAはどうでもええんか?お前にとってその程度の気持ちやったんか?』
睨みつけると、中間は顔ごと目線をそらした。
どんな思いで、俺が身を引いたと思ってんねん。
すぐにでも奪ってやりたい。
でも、
Aが好きなのは、これからもずっとこいつやから。
『Aは今でもずっと、お前のこと想ってる。お前がいないせいで苦しんでんねん!
なぁ、もう執事やないんやろ!?なんで会いに行かへんねん!』
ぐっと胸ぐらを掴むと、中間は右手で俺の手首を掴んで、じっと俺を見た。
「…会いたいですよ、俺だって」
低い声で放ったその言葉。
ほんまに、自分の感情出すの下手やな。
『これ、』
俺は一枚の白い封筒を差し出した。
「…なんですか」
『招待状。来るなら来い』
無理して笑うAも、空っぽの目をしてるお前も、もう見てられへんわ。
『Aには言うなよ。俺が会いに来たって』
"いい奴"には、なりたくない。
キャラじゃないねん。
好きな人の幸せが俺の幸せ、ってやつは。
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きしぽん(プロフ) - 可愛いカミ様さん» ありがとうございます!!励みになります!^^ (2017年8月24日 14時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
可愛いカミ様 - 最高ですっ!これからも応援しています。無理せず頑張ってください。 (2017年8月22日 15時) (レス) id: d90d4201fa (このIDを非表示/違反報告)
きしぽん(プロフ) - 光葉さん» ありがとうございます!流星くんのはちょっと重ためのお話になってしまったんですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!! (2017年4月27日 1時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
光葉(プロフ) - another story 感動しました。メインストーリーからの成長がわかり、凄く心に響きました (2017年4月26日 20時) (レス) id: 87b8702e28 (このIDを非表示/違反報告)
きしぽん(プロフ) - むーさん» わぁぁぁありがとうございます!( ;∀;) そう言っていただけてすごく嬉しいです!!更新遅めですが楽しんでいただけるように頑張ります! (2017年4月18日 10時) (レス) id: a1a531b37a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2016年10月30日 18時