その執事、冷徹。Another Story

another #15 ページ21

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『え…？』





その言葉に顔を上げると、少し眉を下げた淳太くんと目が合う。







「俺はもうどこにも行かへんし、いなくならへん。
大丈夫やから」






なだめるように言う淳太くんは、きっと私が不安に思ってたことも気付いてくれてたんだ。






執事じゃなくなった淳太くんは、いろんな人に必要とされる存在で、もう私だけの淳太くんじゃないから。




だから、遠くに行ってしまいそうで、



またいなくなってしまったら、って、怖くて。






『淳太くん…』


「俺はここにおるから」





無意識にでも不安になってしまうのは、3年前のあの事があったからで。




こうやって安心させてくれる淳太くんも、大切な人を失ってしまう辛さを知っている。


私なんかより、ずっと。





だからこそ、私の小さな不安にも気付いてくれて、


優しく包み込んでくれる。






『淳太くん、？』


「ん？」





こんなに優しくて、私のことを思ってくれてるのに、

勝手に寂しくなって、不安になって、淳太くんを困らせて。


自分でも知らないうちに、淳太くんのこと信じきれてあげられてなかった。




でも、"ごめんね"は、聞きたくないと思うから。





『ありがとう。…大好き』


「ふふ、」





淳太くんの温もりに包まれて、優しく頭を撫でられる。






「愛してます」






その柔らかい声が、心にスッと染み込んで、



あぁ、私は幸せだなって、実感する。






『…敬語ずるい』


「思い出す？」


『…なんか、ドキドキする』





ふっ、と笑みをこぼして、

淳太くんはまた、私の唇に口付けた。









ふたりなら、何があっても乗り越えられる。








私のすべてを受け入れてくれる





淳太くんと一緒なら。







-fin-

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